浅田真央さん「全てが大切な宝物」色鮮やか“感謝の旅”のゴールへ

[ 2021年4月10日 07:01 ]

取材に応じた浅田真央さん(中央)はサンクスツアーへの思いを語った(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 “感謝の旅”のゴールが迫ってきた。フィギュアスケート女子の10年バンクーバー五輪銀メダリスト、浅田真央さん(30)が主役のアイスショー「浅田真央サンクスツアー」は26、27日に横浜アリーナで千秋楽公演を迎える。18年5月の初演から約3年。9日までにスポニチの単独取材に応じた浅田さんは、色鮮やかな旅路を振り返り、フィナーレへの意気込みを語った。(杉本 亮輔)

 ファンに感謝を届ける「サンクスツアー」は、18年5月にスタートした。新型コロナウイルスの影響による延期や中止を乗り越え、今月末に千秋楽を迎える。約3年、浅田さんは全国各地を巡る感謝の旅を続けてきた。

 「この3年間は人生で一番、短かったんじゃないかって感じるくらい濃厚でした。いろんなことがありましたけど、ジェットコースターのように過ぎ去っていって、気がついたらここまで来たかって感じがしています」

 現役時代のプログラムを、他のキャストも交えメドレーで披露する。9日の千葉公演初日を終え公演回数は通算191回。27日のフィナーレで202回となる。

 「こんなにできるとは思っていませんでした。最初の予定では10カ所くらいだったと思います。“追加公演しますか!”となって、気がついたら3年。目の前にある公演を全力で滑ってきて、200になるんだなって」

 勝負のリンクで輝いた現役時代とは、また違った充実感がツアーにはあった。

 「スケートに対する気持ちが凄く変わりましたし、心から楽しんで滑れるようになりました。現役の時はどうしても、戦いの気持ち、勝負の気持ちの方が強かったので。楽しむ気持ちがないまま引退しましたけど、ツアーをすることで子供の時のような“スケートが楽しい”“スケートが好き”っていう気持ちをもらえました。それが、私にとって最高のギフトでした」

 競技に集中していた頃と比べると、目の前に広がる景色はカラフルだった。

 「あまり何も考えないようにしていた選手の時は、モノクロみたいなイメージでした。この3年はいろんなカラーがあって、本当に色鮮やかで。いろんなことを考えて、いろんなことを感じることができました」

 自身が中心となってつくり上げてきたアイスショー。仲間を引っ張り、仲間に助けられて公演を重ねてきた。

 「うまくいかないこともありましたし、自分の思いが伝えられない時もありました。でも、その全てが本当に大切な宝物。凄くいいメンバーで、みんながいなかったら、こうやってアイスショーもできなかったと思います。素晴らしいスタッフの方々にも支えてもらいました」

 27日に“感謝の旅”を終えた時、どんな浅田さんがいるのだろう。

 「なんかね、想像ができなくって…。どうなっちゃうのかな、って。みんなとは離れたくないですし、最後のことを考えると涙が出てきちゃうので、今は一つ一つの出来事とか、1秒1秒、一瞬一瞬が心に残るように、大切に過ごしています」

 ツアーが終われば、また新たな世界が開ける。

 「“真央リンク”をつくりたいという夢があります。将来は緑がたくさんあって、川が流れているところで、自分で野菜を育てたり、まき割りをして暖炉にくべたりとか、そういう生活をしたいなって思っています」

 取材の最後、浅田さんはツアーへの意気込みを短い言葉に込めた。あの柔らかな笑みを浮かべて。

 「最後の1秒まで、全力投球です!」

 ◆浅田 真央(あさだ・まお)1990年(平2)9月25日生まれ、名古屋市出身の30歳。5歳でスケートを始め、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に台頭。05年GPファイナルを制したが、年齢制限で06年トリノ五輪には出場できなかった。10年バンクーバー五輪で銀メダルを獲得し、14年ソチ五輪は6位。世界選手権は3度制覇した。17年4月に現役を引退。1メートル63。

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月10日のニュース