コイと一緒に泳いだ男・水沼、自己ベスト更新Vで男子100メートルバタ初の五輪代表内定!

[ 2021年4月10日 05:30 ]

競泳日本選手権兼東京五輪代表選考会第7日 ( 2021年4月9日    東京アクアティクスセンター )

メダルを手に笑顔で手を振る水沼(中央)(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 東京五輪代表選考会として行われ、男子100メートルバタフライ決勝は水沼尚輝(24=新潟医療福祉大職)が自己ベストの51秒03で優勝した。0秒22差で2位の川本武史(26=トヨタ自動車)とともに代表に内定。男子400メートルメドレーリレーの代表権も得た。女子50メートル自由形準決勝では池江璃花子(20=ルネサンス)が24秒87の全体1位で10日の決勝に進出。既に女子100メートル自由形、バタフライを制しており、非五輪種目の女子50メートルバタフライを含めた4冠に前進した。

 視界を狭めるため、水沼は薄目で泳いだ。50メートルのターンはトップ川本から0秒24差の3番手。体半分ほどのリードを許していたが「そんなに空いていましたか?自分の泳ぎに集中するために周りは見ていなかった」と焦りはなかった。75メートル付近で前に出ると、自己ベストを0秒16更新。19年世界選手権銅メダル相当の記録で「夏に向けて良いスタートが切れた」と誇った。

 幼少時代。栃木県の実家にある観賞用の池でコイと一緒に泳ぐのが大好きだった。池の中で「なんでコイはこうやって泳ぐんだろう?」「なんでヌルヌルしているんだろう?」と好奇心をくすぐられたという。家族からは「前世は魚だったんじゃないか…」と苦笑いされていた。

 足のサイズは30センチ。横幅が広く扁平(へんぺい)気味の両足が繰り出すドルフィンキックが武器だ。高校時代まではウエートトレはせず、泳ぎ込みで体を鍛えた。下山コーチは「高校までの練習の成果で持久力ベースが高い」と説明する。新潟医療福祉大進学後に初めて器具を使った筋力強化に着手。持久力にパワーが加わり才能が開花した。

 作新学院高では萩野の2年後輩。大卒1年目の19年に初めて日本代表入りした際は、同郷の先輩は成績不振による休養で代表落ちしており、東京五輪で初めて一緒に日の丸を背負う。五輪の男子100メートルバタフライで過去に日本勢のメダルはない。水沼は「新たな歴史をつくりたい。50秒台中盤の記録を目指したい」と力を込めた。(木本 新也)

 ◆水沼 尚輝(みずぬま・なおき)1996年(平8)12月13日生まれ、栃木県出身の24歳。栃木・作新学院高、新潟医療福祉大出、新潟医療福祉大職。男子バタフライで19年世界選手権代表。1メートル80、82キロ。

続きを表示

2021年4月10日のニュース