貴景勝、高安と10番7勝!“新旧大関対決”圧倒「調子はいい方」

[ 2020年1月9日 05:30 ]

高安(左)と稽古する貴景勝(撮影・郡司 修)
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 大相撲の二所ノ関一門による連合稽古が8日、東京都江東区の尾車部屋で行われ、大関・貴景勝(23=千賀ノ浦部屋)が“新旧大関対決”で貫禄を示した。関脇に転落した高安(29=田子ノ浦部屋)と合計10番取り、スタートから6連勝して7勝3敗。2度目の優勝を狙う初場所(12日初日、両国国技館)に向けて順調な調整ぶりを見せた。

 関取衆の白熱した稽古が繰り広げられる中、稽古場の脇にいた大関が最後にようやく土俵に入った。直前で輝を退けた高安を指名し、いきなり6連勝。大関復帰を目指す気合十分の相手を途中2度、電車道で押し出すなど圧倒した。終盤は押し返される場面もあったが、いなしや突き落としのタイミングなど反応も良く「全然、悪くない。調子はいい方だと思う」とうなずいた。

 見ていた親方衆もうなるほど、貴景勝が一方的に押し切る姿からは迫力が伝わってきた。視察した相撲解説者の北の富士勝昭氏(77)も「新旧の大関の稽古は力入っていた。元気じゃないか、貴景勝」と太鼓判。「白鵬次第」と最強横綱の仕上がりが優勝の行方を左右するとしつつ、「(優勝は)貴景勝でしょ。ぜひ狙ってほしい」と期待を寄せた。

 昨年は夏場所で右膝を痛め途中休場。名古屋場所を全休し、大関から陥落した。大関に復帰した九州場所も、秋場所の千秋楽で痛めた左大胸筋をかばいながらの出場だった。「最初はこわごわしていた。患部が張っているから、脳が勝手に反応するし。もう最後の方はそんなことも言っていられなかったけど」と振り返る。違和感がある中で9勝したが、完治を優先した冬巡業では相撲を取らずに四股やてっぽうなど基礎運動に専念。その結果、先場所前半は鳴りを潜めた利き腕の左の突きも「伸びるようになった」と実感する。昨年春場所後に大関昇進して以来、ケガに悩まされてきたが「久しぶりに不安なく本場所を迎えられる」と万全の態勢が整いつつある。

 大関からの陥落が現行の2場所連続負け越しとなった69年名古屋場所以降、陥落力士による優勝は76年秋場所の魁傑、79年九州場所の三重ノ海、06年初場所の栃東の3人しかいない。不安材料なく本場所を迎えようとする若武者の言葉に力がこもる。「最後の番付になるためには優勝しかあり得ない。優勝しなければならない」。目指すはあくまでも角界の最高位だが、その前にまずは史上4人目の快挙を達成する。 

 【陥落力士過去の優勝】
 ☆魁傑 75年九州場所で大関から陥落。翌76年初場所で即復帰は果たせずも、同年秋場所で14勝を挙げ平幕優勝。そこから3場所計36勝で、特例適用なしで大関再昇進を果たした。

 ☆三重ノ海 76年夏場所で陥落も、翌名古屋場所で10勝を挙げて即大関に復帰。79年に横綱に昇進し同九州場所から2場所連続優勝を果たした。大関から一度陥落後に横綱に上り詰めた唯一の力士。

 ☆栃東 04年に2度陥落も、ともに直後に10勝以上を挙げて即復帰。2度の大関復帰は史上初だった。06年初場所で自身3度目の優勝を飾った。

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