ウィザーズ・アドキンスコーチが語る八村「ペース乱れない。将来は凄いシューターに」

[ 2020年1月9日 09:00 ]

八村と話すアドキンス・コーチ
Photo By 共同

 NBAウィザーズの八村塁(21)を担当するアシスタントコーチ、デビッド・アドキンス氏(55)が単独インタビューに応じた。八村は昨年12月に鼠径(そけい)部を負傷してから戦列離脱中だが、ドラフト1巡目(全体9番目)指名で入団して以来、マンツーマンで指導してきたのがアドキンス氏。ルーキーイヤーで奮闘を続ける八村の成長ぶり、課題、将来の展望などを明かした。

 ――故障離脱中の八村選手はいつ頃までに復帰すると予測していますか?
 「それに関してはトレーナー陣にたずねてみてください。彼が健康を取り戻すことが最も重要であり、今後に準備していくことになります。ただ、私の手元にはタイムテーブルはありません」

 ――故障離脱する前までの八村選手の成長ぶりをどう感じていましたか?
 「彼は日々、上達していました。塁は気持ちの強さと練習熱心な姿勢を持っている選手。向上すると心に決めていて、毎日ハードに練習していました。攻守両面でチームのコンセプトを理解し、流れの中で得点し、フリースローを高確率で決めていました。とても良い仕事をしてくれていたと思います」

 ――あなたと八村選手はずっとマンツーマンで練習に取り組んでいましたが、一緒に練習を始めたのはいつだったのでしょう?
 「ドラフト指名後、彼はワシントンDCに来て、私は他のコーチとともに彼とのトレーニングをスタートしました。サマーリーグの間も練習を続け、その後、私は日本にも同行し、彼と2週間を過ごしたんです。日本に行ったのは練習をサポートするだけでなく、塁やラマス監督をはじめとする日本代表のコーチ陣ともより深く知り合うためでした。2カ月間も彼と離れたくなかったので、そこでもシュート練習を積みました。W杯が終了し、彼がワシントンDCに戻ってきたあとは、ほぼ毎日、一緒に練習に取り組んでいます」

 ――長期間にわたって一緒に練習してきて、最も向上したと思う部分は?
 「何より大きいのは彼がより快適に感じられていることです。塁に関して素晴らしいのは、ペースが乱れないこと。どんな状況でもあわてず、大きな舞台でも動じたりはしません。その点にはゴンザガ大時代から感心させられてきました。特にあの若さで、米国でのキャリアが短いことを考えれば、それは素晴らしいし、大きな武器と言えます」

 ――最大の課題とされるシュートに関しては、どう取り組んできたのでしょうか?
 「(1)フットワーク(2)パスをキャッチする位置(3)シュートする位置(4)フォロースルー、の4つを課題に挙げてやってきました。塁のフットワークは向上し、より有効に足を使えるようになってきました。手の位置が下がるとシュートがフラットになる(弧を描かなくなる)ので、その点にも気を配ってきました。それらの面で向上していることは間違いありません。3ポイント成功率(が低いこと)に関しては心配していません。フリースローは既に約80%の高確率で決めています。NBAでコンスタントに3ポイントを決められるようになるまでに、たいていの選手が2、3年はかかります。彼もNBAに入ったばかりの現時点で気にする必要はありません。彼が得意とするのはミッドレンジやゴール周辺での得点力と、ボールムーブメントを生かしたプレー。将来的に彼は良いシューターになっていくはずで、凄いシューターになれる可能性もあります。何事にも時間はかかるのです」

 ――ブルックス・ヘッドコーチも現時点ではミッドレンジを決めてくれれば良いと話していました。ただ、やはりいずれ3ポイントも高確率で決めてほしいという希望は抱いていますか?
 「今でも3ポイントは打っています。現在の彼はPF(パワーフォワード)で出場していますが、いずれSF(スモールフォワード)として成長してほしいという希望も持っています。彼のサイズ、体重を考えたら、SFがベストポジションではないでしょうか。ただ、現代のNBAはポジションレス化が進んでおり、故障離脱前の彼はセンターもプレーしました。今後も制限をかけることはなく、攻守両面で複数のポジションをプレーすることになるのでしょう」

 ――シュート以外で向上させてほしいと思う部分は?
 「まずはディフェンス面です。自分が対じしているのはどういうチーム、選手かを理解し、対応できるようになってほしい。レーカーズ戦ではレブロン・ジェームズ、クリッパーズ戦ではカワイ・レナード、ナゲッツ戦ではポール・ミルサップなど、彼は既にさまざまな選手と対戦してきました。最高級に厳しいマッチアップも既に経験してきたのです。一度対戦した選手のことを理解し、特徴を知り、次にマッチアップする際に生かしていってほしいと願っています」

 ――シーズンの中で徐々に成長してほしいということですね。
 「ただ、塁はいわゆる“ルーキーの壁”に直面しかけていたと思います。ゴンザガ大では1シーズンに30~35試合ほどで、ハイレベルのチームとの対戦は5~10試合くらいだったはず。それがNBAでは移動も多く、その中で毎晩のようにハイレベルのゲームをこなすことになります。ゴンザガ大の日程が厳しくなかったというつもりはありませんが、(カレッジでは)レブロン、レナード、ポール・ジョージのような選手と毎試合で対戦することはあり得ない。だとすれば、疲れを感じても当然です。ここで故障離脱したのは残念ですが、復帰後は今季終盤まで元気にプレーしてくれるはずです」

 ――ここでの離脱はコンディション面では助けになるかもしれないと思いますか?
 「離脱前の彼はハイレベルでプレーしてくれていたので、戦列を離れるのはやはり残念でした。ただ、このチームは素晴らしいメディカルスタッフ、ドクター、トレーナーを揃えており、良い状態でコートに戻してくれるはずです。彼は大丈夫ですよ」

 ――ウィザーズのチーム内でもあなたは八村選手を誰よりも知る一人だと思いますが、普段の彼はどんなふうに過ごしていますか?
 「デトロイトで故障する直前の約2週間、彼はチーム内でこれまでより快適に過ごしているように見えました。自分らしく振る舞い、ユーモアのセンスもあることを示していました。チームメートともより深く理解し合えていたと思います。彼は本当に良い男で、チームのみんなにも心を開き始めていますよ」

 ◆デビッド・アドキンス 1964年6月5日生まれ、米国バージニア州出身の55歳。ラドフォード大卒業後、93年から09年まで4つの強豪高校でコーチを務め、モントローズ・クリスチャン高ではケビン・デュラント(ネッツ)、松井啓十郎(京都)らを指導。09年からコーチを務めた女子の強豪メリーランド大での指導が認められて、14年にウィザーズのコーチに就任した。

続きを表示

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「NBA」特集記事

2020年1月9日のニュース