「すごく刺激に」平野裕志朗 目指すはアイホケ界の大谷

[ 2019年2月9日 09:02 ]

NHL入りを目指して米国で奮闘する平野裕志朗(中央)(C)Wheeling Nailers
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 【NHLに最も近い日本人・平野裕志朗 3】プロアイスホッケー選手と言っても、マイナーリーグの生活環境は過酷だ。ECHLの給料は1週間550ドル(約6万円)程度で、チームが持っているアパートの1ルームを3選手でシェアする生活。AHLと契約すれば1シーズンで日本円にして最低500万円程度と上がるが、華やかな生活とは言い難い。ミリオネアがはびこるNHLに到達するまで、このように厳しい条件での日々が続くことになる。

 日本ではトップ選手の平野は、日本のチームでプレーしていれば1000万円程度を稼ぐことは可能だったと言われている。日本代表としての立場もあり、より安定した生活を送れていたはずだ。しかし「ホッケーで日本の子供たちに夢を与えられるような人間になりたい」という思いを胸に、平野はアメリカンドリームを追う方を選んだ。

 時を同じくして、最近はテニスの大阪なおみ、NBAの渡辺雄太(グリズリーズ)、そして大リーグの大谷翔平(エンゼルス)のように、海外で躍動する20代前半の日本選手が増えている。

 「他のスポーツの日本人にできて、なぜアイスホッケーの日本人にできないのか。それらの選手たちは挑戦し続けている。活躍はすごく刺激になりますし、自分もそうならなければいけません。外国の人たちが“平野って誰だ”と聞いたら、“アイスホッケー選手”と分かるような選手にならなければ、と思っています」

 自らの夢を追い、同時に後に続く者たちの目標になりたい。自身の故郷でもある北海道にある日本ハムからメジャーに飛び立った大谷のように、米国で活躍し、活況を呈しているとは言えない日本アイスホッケー界を引っ張っていきたい。

 「そのためには自分が1つでも上にいくことが大事。NHLで何年もプレーし、1つでもポイントを多くとっていくというのが最大の目標です」。スケールの大きな未来を思い描き、平野は一歩ずつ前に進んでいる。(杉浦大介通信員)

 ◆平野 裕志朗(ひらの・ゆうしろう)1995年(平7)8月18日生まれ、北海道出身の23歳。白樺学園を経てスウェーデンや米国のジュニアリーグ、アジアリーグ(東北フリーブレイズ)などでプレー。今季からNHLの「3軍」にあたるECHLのネイラーズに所属し、1月中旬に契約した「2軍」のAHL・ペンギンズへの昇格に備えている。2月7日終了時でチーム2位タイの13ゴール、同3位の22アシスト。18歳以下、20歳以下で日本代表に選出され、代表通算28試合で7ゴール9アシスト。1メートル85、100キロ。

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