元貴乃花親方 貴景勝よ宿命を試練と思うな “完全に”大関を勝ち取れ

[ 2019年2月9日 12:30 ]

元貴乃花親方×河内家菊水丸対談(下)

腕相撲で対決する河内家菊水丸(左)と花田光司氏(撮影・北條 貴史)
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 大相撲の元貴乃花親方、花田光司氏(46)と本紙レジャー面連載「珍宝堂」でおなじみ、伝統河内音頭継承者の河内家菊水丸(55)による対談の続編は春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)で再度大関獲りに挑む貴景勝(22)らについて。昇進目安、三役で直近3場所33勝をクリアしながら初場所千秋楽の黒星が響き、見送りになった元弟子に「宿命を試練だと思わないこと」と説いた。【構成・仁木 弘一、筒崎 嘉一】

 菊水丸 稀勢の里関が引退しました。

 元貴乃花親方 無事に引退できた。それが何よりです。

 菊水丸 弟子の活躍はテレビ観戦ですか?

 元親方 退職したんだからやめておこうと思うけれど、時間が来たら見ます。貴景勝が優勝してくれたのが心の支えです。双子の貴ノ富士と貴源治が幕内上位で活躍してくれるのも見届けたいと思います。

 菊水丸 貴公俊から改名した貴ノ富士関のしこ名の由来は?

 元親方 まさに富士山のようにです。弟より体が一回り小さいけれど気持ちの強い子です。一度十両に上がって不祥事があって再十両。人生のいい機会を与えられた。

 菊水丸 回り道ではなく?

 元親方 今回上がったら落ちることはない。本当にこの子だけは角界に残さないといけないと思った。

 菊水丸 大阪は現役時代もターニングポイントですね。

 元親方 親方時代、春場所担当部長になってから知ったのが「現役の時、エディオンアリーナ大阪の周り、ずっとチケットを求める人が毎日並んでいたよ」と。知りませんでした。本場所には戦いに行く、行って帰るだけの毎日でした。

 菊水丸 担当部長時代、ワンルームマンションを借りて?

 元親方 最初ホテル住まいでした。3日に1回くらいスーツのまま風呂にも入らず眠った。疲れ切った顔をフロントの人に見せてはいけないと思った。

 菊水丸 初めて親方のいない春場所です。そこで貴景勝関が大関獲り。初場所千秋楽で敗れて、昇進が見送られた。

 元親方 3場所33勝しましたが欲をかかずに上を目指さないといけない。

 菊水丸 通算7回も優勝して横綱昇進が決まったご自身とダブります。

 元親方 もともと弟子には言ってました。(しこ名に)「貴」がつけば簡単には上がれない、完全に上がれるくらいに力を付けろよと。誰彼を責めず、自分と闘ってしのぎ切って勝ち取って行くんだぞと。

 菊水丸 際どい相撲ではなく物言いのつかない相撲を取れと。

――――「貴」がつくことに誇りを持ってほしい――――

 元親方 うちの子たちの宿命としていいものを与えられている。「貴」がつくことに誇りを持ってほしい。自分自身に問い掛けて向き合っていくのが一番大事です。自分も横綱が見送りになった時は支援者、先代(父の故大関貴ノ花)に「完全に勝てばいい、大丈夫です」と言った。

 菊水丸 それで15戦全勝を連続で。これで上げないわけにはいかない。

 元親方 宿命を与えられているからこそ、(相撲ファンの)頭の片隅に貴乃花を置いて下さる。宿命を試練だと思わないことです。

 菊水丸 退職しても師匠と弟子の関係は続くのですね。

 元親方 あの子たちが引退する時にやれることがないかと思う。そのためにもいい仕事をしていこうと。

 菊水丸 社団法人を立ち上げて?

 元親方 子供たちと土の上で遊ぶ活動ができたら。日本の礼儀作法、素敵な部分を遊びながら伝えたい。何の職業に行っても相撲を教えてもらった記憶は一生残る。将来スポーツをやらないとしても四股は動きの原型。腰を下ろすだけでも腰も伸びます。

 菊水丸 女性でも、黒柳徹子さんが親方に教えてもらって「毎日腰を割ってます」と。会社も?

 元親方 絵本と花屋さんの会社と人材派遣の会社。意外と花が好きなんです。笑わないでください。花田ですから。絵本は今、作ってます。

 菊水丸 昨年12月、先月と東大大学院でスポーツビジネスの講義もされた。

 元親方 東大に行くなんて思ってもみなかったから、講義が終わったら2日間立ち直れないくらいになります。普段使わない頭を使うので。

 菊水丸 参院選出馬が取りざたされています。

――――参院選?出る気もないけど、時間がないのが実情――――

 元親方 元々出る気もないけれど、時間がないのが実情です。

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2019年2月9日のニュース