逆襲の羽生だ!史上初後半に4回転3発「悔しいならやっちゃえ」

[ 2017年4月22日 05:30 ]

フィギュアスケート世界国別対抗戦第2日 ( 2017年4月21日    東京・国立代々木競技場 )

男子フリー、ジャンプを決める羽生結弦
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 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)7位だった羽生結弦(22=ANA)は200・49点で1位となった。初めて演技前から4回転ジャンプ5本を予定に組み込み、4本成功。そのうち3本を後半に決め、シーズン最後に新境地を切り開いた。SP1位だった宇野昌磨(19=中京大)は198・49点で2位。3大会ぶりのタイトルを目指す日本は、羽生、宇野の二枚看板がワンツーフィニッシュを果たし、81点で首位を守った。

 大きな決断を下していた。SPで7位。羽生はミスを連発した前日の4回転ジャンプが頭から離れず「悔しくて寝付けなかった」という。朝4時までフリーのイメージトレーニングを繰り返す中でひらめいた。「そんなに悔しいなら、もう一回やっちゃえ」。4回転ジャンプをあらかじめ1本増やし、5本とする構成に初めて挑むことを決めた。

 不慣れな第1グループに登場した世界王者は、SPで失敗した4回転ループをきっちり決めた。続く4回転サルコーは1回転になったが、体力的にきつくなる後半に備えて集中し直した。ビールマンスピンを外し、ステップのスピードも抑えめにした。

 そして4回転サルコー―3回転トーループの連続ジャンプ、4回転トーループを完璧に決めた。さらに4回転トーループ―1回転ループ―3回転サルコーの3連続ジャンプも初めて降りた。最後はスタミナ切れでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が1回転半になるミスも出たが、200・49点で1位。「合計点で競うものじゃなくてよかった」。SPでチームの足を引っ張った分を取り返した。

 4度の4回転ジャンプ成功は四大陸選手権、世界選手権と合わせて3戦連続。得点が1・1倍になる後半に3度の4回転ジャンプを成功させたのは史上初の快挙だ。「後半3本入ったので達成感が違う。(最初のミスの後に)6本にしようかとも思ったけれど、プログラムがバラバラになったら申し訳ないと思ってやめた」。演技後はキス・アンド・クライでピンクのリボンを頭につけて珍しくはしゃいだ。

 今季前半は昨季から1本増やした4回転ジャンプ4本の構成になじめず苦闘が続いたが、シーズン後半にはそろえられるようになった。「1点でも2点でも少しでも多く稼ぎたい時に武器として使える」と来季は5本の構成をベースにすることも見据えるなど、さらなる進化を予感させる。王者は2連覇を狙う平昌(ピョンチャン)五輪へ向け新たな可能性を手にして、充実のプレシーズンを締めくくった。

 ▽世界国別対抗戦の順位決定方法 チームは男女各2選手、ペアとアイスダンスはそれぞれ1組で構成。各種目のSP、フリーで、順位に応じたポイント(男女は1位12点、2位11点…12位1点、ペアとアイスダンスは1位12点…6位7点)を獲得。ポイントの合計で争う。

 ▽男子フリーの4回転ジャンプ ネイサン・チェン(米国)は2月の四大陸選手権で世界で初めて公認大会で5本(後半1本)成功。3月の世界選手権では6本(後半2本)に挑戦したが、きれいに決めたのは2本。宇野昌磨は四大陸選手権と世界選手権で4本(後半2本)に成功。金博洋(中国)も世界選手権で4本(後半2本)に成功している。

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