土田1秒差2位…昨年の雪辱ならず涙「本当に悔しい」

[ 2014年11月10日 05:30 ]

フルマラソン女子の部でマニュエラ・シャー(右)に惜しくも1秒差で敗れた土田

 第34回大分国際車いすマラソンは9日、フルとハーフ合わせ16カ国の271選手が参加して行われた。女子T34・53・54(障がい区分)のフルマラソンでは土田和歌子(40=八千代工業)が優勝したマニュエラ・シャー(スイス)に1秒差の1時間38分43秒で2位。昨年、同タイムの世界記録をマークしながら2位に敗れた雪辱はならなかった。同男子では山本浩之(48=福岡)が1時間28分27秒で2位。マルセル・フグ(スイス)が1時間21分40秒で大会5連覇を達成した。

 笑顔を見せながらも、土田の目には涙が浮かんでいた。「昨年と同じ形では負けたくないと思っていたから、本当に悔しい」。トラック勝負となったシャーとのマッチレースは、1秒差で決着した。昨年は世界記録を更新しながらも車輪の差で2位。雪辱を期したレースで再び敗れ「トラックで勝負しなくて済むようにと思っていたのに、レースがつくれなかった」と振り返った。

 10月から自動車部品メーカーの八千代工業所属となり、レーサータイプの車いすを一新したばかり。今月2日にニューヨークマラソンを走った疲労もあり、小雨のレースも過酷な条件だった。それでも「日本で車いすマラソンの認知度を高めたいから、一つでも多くのレースに出たい」という第一人者の自覚が激走の原動力となった。

 17歳のとき、自動車事故で車いす生活となり、98年長野、04年アテネで日本人初の夏冬パラリンピック金メダリストとなった。現在は20年東京大会の組織委員会にも名前を連ねる40歳は「また見えてくるものもあった。次につながるレースにしたい」と開拓者らしい前向きな姿勢は崩さなかった。

 ≪山本は力の差実感≫男子はフグの5連覇阻止に日本のトップが集団で挑んだが、トラックでも世界最高の実力を持つ王者に5キロ手前で離されるとゴールでは7分近い大差がついた。日本勢3選手の2位争いを制した山本は「(車輪に伝える)トルクの付け方が違う。パワーの差」と苦笑い。今夏には国内トップ選手が北海道で合同合宿を行うなど強化は進んでいるが「トップとの差を受け止めて出直したい」と切り替えていた。

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2014年11月10日のニュース