逸ノ城 立ち合い迷った…日馬に3秒完敗「自分、人間だから」

[ 2014年11月10日 05:30 ]

日馬富士(右)に寄り切りで敗れ黒星発進となった逸ノ城

大相撲九州場所初日

(11月9日 福岡国際センター)
 初土俵から所要5場所と昭和以降最速で新関脇に昇進した逸ノ城(21=湊部屋)が先場所途中休場の横綱・日馬富士(30=伊勢ケ浜部屋)に寄り切られて黒星スタートとなった。新関脇としては11年ぶりに初日から横綱戦が組まれたが、相手のスピードと威圧感に圧倒されて完敗。九州場所では17年ぶりの満員御礼となった初日に波乱を起こせなかった。大鵬に並ぶ史上最多32度目の優勝を狙う横綱・白鵬(29=宮城野部屋)は順当に白星発進した。

 やはり逸ノ城も人の子だった。モンゴルの先輩である日馬富士に圧倒されて引き揚げてきた支度部屋。「本当の化け物は普通にできるだろうけど、自分、人間だから緊張感とかいろいろあります」と本音を漏らした。先場所は新入幕で13勝して「怪物」「化け物」などと騒がれたが、大注目の中で迎えた初日は黒星スタート。自身より体重が63キロも軽い136キロの横綱に完敗し、帰り際に自ら“人間宣言”することが、敗者となった21歳による必死の弁明だった。

 考え抜いた作戦がはまらなかった。「思いっきり当たろう」と立ち合いで少し後ろに構えたが「待ったかと思った」と立ち遅れて防戦一方。そして、右のど輪から最後は懐に潜られ、わずか3秒で寄り切られた。先場所は鶴竜と稀勢の里に変化するなど強心臓ぶりを発揮したが、この日は迷いが生じた。先場所後から「得意の四つになりやすいように」と立ち合いで先につく手を以前の“両手か左手”から“右手”に変えて何度も稽古してきたが、いざ場所の土俵に立つと「なんか迷っちゃう」と頭の中がパンク。わずかに左手をついた瞬間、横綱に先に立たれて手も足も出なかった。

 先月にはストレスによる帯状疱疹(ほうしん)で約1週間の入院。2週間前の九州入り後も骨盤にずれが生じていることが判明し、1泊2日の弾丸で大阪に出向いてトレーナーに施術を受けた。そして数日前から風邪をひき、この日の朝稽古中も鼻をかんだり、くしゃみをしたり…。調整不足、体調不良、作戦失敗。どれもこれも新関脇の重圧が邪魔した結果だが、真価が問われる場所は15分の1が終わったばかり。入門からたった1年の21歳は「どんどん慣れていくように頑張ります。大丈夫」と必死に言い聞かせた。

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2014年11月10日のニュース