香妻琴乃 価値ある2位…プレーオフ5H目で涙も世界を知った

[ 2014年11月10日 05:30 ]

プレーオフ3回目、バーディーパットを決め豪快なガッツポーズの香妻琴乃

USLPGAツアー 2014ミズノクラシック~伊勢志摩~最終日

(11月9日 三重県志摩市 近鉄賢島カンツリークラブ=6506ヤード、パー72)
 初優勝を目指した香妻琴乃(22=サマンサタバサ)は激闘の末、2位に終わった。4位から出て69で回り、通算11アンダーで並んだ李美香(イミヒャン、21=韓国)と李日姫(イイルヒ、35=同)と18番パー4でのプレーオフに突入。ともに譲らず5ホール目までもつれこんだが、最後は李美香にバーディーを奪われて涙をのんだ。米ツアー3年目の李美香が自身初のプレーオフを制し、初優勝を飾った。

 雨中の戦いに力尽きた香妻の表情に悔しさと充実感が交錯した。米ツアーの実力者2人と5ホールに及ぶプレーオフの死闘。最後はラフから10ヤードのアプローチがカップ右に外れると、18番グリーンを囲むギャラリーからため息が漏れた。ツアー初優勝を逃し「悔しいと言ったら悔しいけど、今の力を全部出し切った結果かなと思う」と話す目には光るものがあった。

 2位に敗れた7月のサマンサタバサ・レディース以来2度目のプレーオフ。「前回はドキドキしたけど、今回は集中できた」。2ホール目で2メートルのチャンスを外したが、続く3ホール目では先に12メートルを沈めた。拳を握り勝利を信じた。しかし、韓国勢2人に5メートル以上のパットを入れ返され「やっぱ入れるんだと思った。アッというより、よし!という気持ちになった」と逆に燃えた。4ホール目は2メートルを入れて食らいついたが、最後は相手の実力が上回った。

 契約するサマンサタバサのピンクのウエアを身にまとい、声援には白い歯を見せるゴルフ界のアイドル。だがよく見ると、上下にアイラインをバッチリ引いた小悪魔系メークで、ミスショットにはクラブを地面に叩きつけることもある。美貌とのギャップに“萌える”ファンも多いが、怒った時は目を閉じて深呼吸。気持ちの切り替えの早さも昨季までにない姿だ。

 今季開幕前は1カ月半のハワイ合宿を敢行。強い日差しの中、午前中1ラウンド、午後から4時間の打ち込みを行った。スイングを固めて飛距離は10ヤード伸び、平均260ヤード。父・尚樹さん(50)も「合宿から帰ってきた時、今年はいける」とブレークを予感していた。昨年は10戦に出て、7度予選落ち。だが、今年は倍の20戦で予選落ち3回。6度のトップ10を果たすなど急成長した。

 賞金ランクは20位に浮上。25位までが資格を得る地元・宮崎でのツアー選手権リコー杯(27日開幕)出場もほぼ手中に収めた。日本勢最高の価値ある米ツアー2位。大王製紙エリエール・レディース(20日開幕)の出場も決まっており「残り2試合でどちらか勝ちたい」と誓った。シンデレラストーリーが優勝という幕切れに近づいている。

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