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森保ジャパン 海外組の活躍を導いた情報収集“秘密基地”

[ 2022年12月9日 05:05 ]

欧州オフィスで作業する津村氏(JFA提供)
Photo By 提供写真

 【検証 森保ジャパン(3)欧州オフィス】W杯の初戦となった11月23日のドイツ戦。決勝ゴールを決めたFW浅野とアシストした板倉はともに9月に内側側副じん帯を負傷した。まだ復帰していなくても代表に選ばれ、そして活躍できた背景には、欧州組の情報収集に力を発揮した欧州オフィスの存在があった。

 2年前の2020年、日本協会は海外クラブとの円滑な交渉などを目的に欧州の拠点としてドイツ・デュッセルドルフにオフィスを構えた。責任者として赴任した津村尚樹ダイレクター(44)は、今大会前には欧州組との連絡役として奔走。「板倉がケガをした際にはクラブから連絡をもらって、状態について細かな話ができた。かなりコミュニケーションが取れた」という。

 ドイツにいた浅野、板倉は頻繁に同オフィスを訪れ、日本協会のトレーナーから治療を受けるなど協会側にとっても状態を見極めることができた。反町康治技術委員長(58)は「昔は招集したら実はケガしてたということはあったが、今はそういうことはない。その意味では拠点を置くメリットは大きい」と手応えを口にする。

 欧州オフィスの仕事は故障者のケアだけではない。26人中海外組が19人を数える森保ジャパンにとって、テストマッチなどの招集に向けたクラブとの調整も重要な仕事の一つになっている。メールでのやりとりより、やはり直接会って交渉することが重要だという。「やっぱり人なのでメールや電話のやりとりと実際に会うことでは印象も変わる」

 W杯出場を決めた直後に板倉や遠藤がクラブ事情で代表を離脱したが、一方で派遣義務がない東京五輪には出してもらうなど、お互いに歩み寄りもみせた。時差のある日本からの“遠隔操作”ではなかなか信頼は得られなかったという。

 今後はデュッセルドルフで国際親善試合を行うといった準ホーム化も検討するなど、欧州の足場を固めていく。今回の結果も踏まえて事業拡大も視野に入れているといい、津村氏は「まだ開設して2年。まずは形をつくって、何が必要なのかを判断していきたい」。選手同様、組織も着実に底上げは進んでいた。(特別取材班)

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2022年12月9日のニュース