湘南前監督・チョウ貴裁氏の現在地「情報や考え方はアップデート」 ライセンス停止期間満了

[ 2020年10月23日 05:30 ]

流通経大のチョウ貴裁コーチ
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 パワハラ行為で日本サッカー協会から公認S級コーチライセンスが停止されたチョウ貴裁(チョウ・キジェ)氏(51)の資格停止期間が10月3日、満了した。昨年10月に湘南の監督を退任し、流通経大コーチを務める同氏が、1年間の心境と来季のJリーグ復帰の可能性について語った。

 2月下旬から流通経大のコーチに就任して約8カ月、チョウ氏はようやく元気を取り戻した。トップチームの練習を指揮し、笑顔で学生と向き合う。「みなさんの暖かい気持ちに支えられている」と近況を語る。

 昨年8月、湘南の選手に対するパワハラが表面化し、1年間、資格停止に。日本サッカー協会の指導で研修を受けたり、他分野の人から話を聞いて自己研さんに努めた。J3鳥取で営業の現場研修も体験した。レポートも提出し、10月3日で資格を回復した。

 「今回のことで社会におけるスポーツやプロチームのあり方をあらためて感じたし、自分の視野の狭さも感じた」選手やチームのためにと思ってやっていたことが、相手に伝わらず、「その場にそぐわず人を傷つけてしまった」と反省する。

 最初は「1年は長く感じるだろう」と想像したが「いまは1年間で学べたり研修を受けられたことはよかったと思っている。1年ぐらいかけないと自分の整理はできない」と前向きにとらえられるようになった。「これを次に生かしていかないとサポートしてくれた人に申し訳ない。しっかり自分が吸収した姿を見せたいと思う」

 1月から2月末まで欧州で20試合以上観戦。「サッカーに対する情報や考え方は湘南の時よりアップデートできた」という。来季はJリーグの監督に復帰する可能性もあるが、「プロのフィールドに戻るかどうかは自分で決められることではない」と言うだけだ。

 ただ、流通経大の中野監督は「昨年末に会ったときは元気がなかった。指導現場に立つのが怖いと言い、人間不信になっていた。選手の能力を引き出す力がある。サッカー界の宝だし、堂々と復帰できる道を作りたい」と後押し。チョウ氏の指導は的確で「2部だが今年日本で1番強い」と言うほどだ。同監督はさらに「このまま監督をやってほしいが、同時にJリーグに戻って優勝してほしい。チョウさんらしさを発揮してほしい。選手との向き合い方も一工夫できている。能力は評価されている。ベルマーレの評価ですべて失うのはどうかと」と語った。

 「自分の言動で傷つけてしまった人にはほんとうに申し訳ないと思っている。湘南を応援しているスポンサーやサポーターにも嫌な思いさせてしまい申し訳ない。今回のことを自分の中で真摯(しんし)にとらえ、これからどんな姿を見せるか、どんな風に生きていくかが重要だと思っている」とチョウ氏。まずは11月3日にアミノバイタルカップ決勝で母校・早大と対戦する。「流通経大はアミノバイタルカップで優勝したことがないので、タイトルを取らせてあげたいと思っている。選手、スタッフにいい思いをしてもらえるように全力で頑張る」と力を込めた。

 ▽湘南パワハラ騒動 19年7月に通報があり、Jリーグは弁護士による調査チームを編成。チョウ監督を含む約60人にヒアリング調査し、選手へ罵声を浴びせるなど、精神的に追い込む言動が多く報告された。その他、不法行為、暴行罪ともなり得る不適切な行為も認定され、監督は公式戦5試合の出場資格停止。対応が不十分だったクラブには、制裁金200万円が科された。同年10月8日に退任したチョウ監督には公認S級コーチライセンスの1年間停止処分も出た。

 ◆チョウ貴裁(チョウ・キジェ)1969年(昭44)1月16日生まれ、京都市出身の51歳。洛北高から早大を経て日立に入社。94年に浦和へ移籍してJリーグデビュー。96年に神戸に移籍し、97年限りで引退した。ドイツのケルン体育大で指導者の勉強をし、帰国後、川崎Fの下部組織やC大阪コーチを経て湘南のコーチに。12年から監督になり、昨年退任した。

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