J2京都の通訳・岡本剛人さん 通訳はスキル以上に「恋人」思う人間性、献身性が大事

[ 2020年10月21日 05:30 ]

ヨルディ・バイス(左)とウタカ(右)に通訳するJ2京都の岡本通訳(C)KYOTO.P.S.
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 スポットライトを浴びる選手の陰には、必ず支える人がいる。その道一筋の職人や、選手から転身した人などバックボーンはさまざまで苦労も人それぞれ。そんなサッカー界の縁の下の力持ちに注目する「ピッチ外のスペシャリスト」。今回はJ2京都の通訳岡本剛人さん(41)を紹介する。

 02年に通訳業をスタートさせて、今年で19年目。岡本さんは「感覚としては男同士ですが、恋人のような感覚ですね。アイツはこうしたら喜ぶとか、こうしたらうれしいだろう、これは嫌だろうと考えている。分身というよりはサポートする立場。シンクロしたら、選手がへこんだら一緒にへこむことになるじゃないですか。逆の立場の方が良いと思っています」という。

 心掛けているのは、相手への思いやり。例えば就労ビザの準備、銀行口座の開設、国際免許証の発行、家探し…新しい環境に慣れるまで手伝うことは多岐にわたる。食事に最適なレストランを教えたり、選手の家族が病気やケガをしたら一緒に病院に付き添ったり。かつて来日予定だった選手の家族が経由地のドバイで急病になった時には2泊3日の弾丸で現地に飛んだこともある。

 「肉体的には今まで一番キツかったけど誰かがサポートしてあげないといけない。それに勝つためには外国人の力が必要。彼らの能力を最大限に引き出すために歯車として自分は何ができるか」

 シーズン中で、試合前に選手が抱えていた大きな不安を少しでも軽減させてあげたかった。

 よく通訳になるにはどんなスキルが必要ですか?と聞かれる。そんな時、岡本さんはこう答える。「言葉は大事。でもそれ以上に人間性。選手のため、チームのためになれる献身性。その上に語学力やテクニックが乗っかってくる。通訳は全部やらなアカン。でも最初からは無理なんです。となれば彼らのために…と思えるかどうかじゃないですか」

 通訳の仕事に完璧はない。担当選手が勝利に貢献しても「こういう会話をしておけば1点ではなく2点は取れたんじゃないか」と考える。辛くもJ2残留となった18年は「ボスコ(ジュロブスキー監督)のあの言葉をこう訳せば、選手たちはもっとプレーできたのかな、とも思う」。日々、試行錯誤。“恋人”が最高に輝く時を求め、岡本さんは今日も彼らの傍らに立つ。 

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