×

久保が翼になった!バルサMFビダルも置き去り、南米王者チリを認めさせた0―4の光

[ 2019年6月19日 05:30 ]

南米選手権・1次リーグC組   日本0―4チリ ( 2019年6月17日    サンパウロ )

前半、日本・久保建がチリ・ビダルと対じする (撮影・大塚 徹)
Photo By スポニチ

 C組の日本代表は17日(日本時間18日)、サンパウロでチリとの1次リーグ初戦に臨み0―4で大敗した。レアル・マドリードに移籍したMF久保建英(18)は、4―2―3―1布陣のトップ下でフル出場。日本人最年少となる18歳13日でA代表公式戦出場を果たした久保は、決定的なシュートで会場を沸かせるなど、敗戦の中で、一筋の光を感じさせた。中2日で迎える20日(日本時間21日)の第2戦はウルグアイと対戦する。

 その瞬間、久保の前には静寂が広がっていた。「チームが劣勢になっている時に、なんて言うんですかね。リミッターが外れるじゃないですけど、ああやって何も考えずにスルスルと抜ける時がある」。0―2の後半20分。日本の至宝が、華麗すぎるテクニックで魅了した。

 軽やかで、踊るようだった。ペナルティーエリア手前左で中山からパスを受けると、ドリブルを開始。バルセロナMFビダルに尻もちをつかせ、2人目の守備の要DFメデルも置き去りにした。だが、最後の左足シュートは枠を捉えることができなかった。「チームを助けるプレーができなかったことが非常に腹立たしい」。両手を芝生に打ち付けた姿は、この試合の日本代表の中で最も悔しさがこもっていた。

 18歳と13日。トップ下で日本人最年少となるA代表公式戦出場を果たした。前半12分にはMFプルガルの股下を鮮やかに抜いて左サイドを駆け上がった。会場のモルンビー競技場はかつて「キャプテン翼」のモデルとなった水島武蔵がサンパウロ時代にプレーした地。久保は翼ばりのプレーでいきなり歓声を浴びた。観客だけではない。メデルが「日本で印象に残ったのは久保」と言えば、MFアランギスも「7番(柴崎)と久保」と口をそろえた。大会3連覇を狙うチリ代表の脳裏にも強いインパクトは残した。

 前線4人の中では、唯一のフル出場。前半25分以降は存在が消える時間帯もあったが、後半途中からは吹っ切れたかのように自在に動いてボールに絡み、パスをさばいた。右CK、FKのキッカーも務め、「一回座った椅子は簡単に手放したくない」というA代表定着へ、強い存在感を放った。

 天賦の才を授かりながら、おごらずに道を歩んできた。FC東京で同僚の平川にJ1デビューで先を越された際には、悔しさから最後の一人になるまで居残りでシュート練習に明け暮れたこともある。「あそこで決めていたらこっちの時間帯にぐぐっと引き寄せられたと思うので本当に後悔している」。枠に飛ばせなかった後半20分のシーンも、きっと良薬に変える。

 ▼森保監督(久保について)得点を奪うことはなかったし得点に絡むことはできなかったが、相手の守備を混乱させるプレーをしてくれた。これを継続して、さらに成長した姿を次の試合で見せてほしい。

続きを表示

2019年6月19日のニュース