柏GK中村航輔、世界トップ選手のプレーを即座に“完コピ”

[ 2018年5月19日 11:00 ]

ロシア代表候補 青き原点(6)

下部組織時代の中村(下段中央)と井上コーチ(中段右)
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 小学5年で柏の下部組織の門を叩いた少年には、1メートル60に満たない体躯(たいく)に大きな才能が詰め込まれていた。プロになれなければ、預かった自分の責任だ――。井上敬太アカデミーGKコーチ(34=現U―18コーチ兼GKコーチ)は育成の重圧を感じていた。

 当時から中村は吸収力がずばぬけていた。だからこそ井上コーチは「世界トップクラスのGKのプレー集を編集して、ひたすら見せた」。あるとき、映像を一緒に確認してからトレーニングに臨んだ。すると、その日のゲームでプロと同じテクニックを披露。練習なしのぶっつけ本番で、だ。もはやあきれるしかなかったという。

 成長曲線は順調に右肩上がりを描いた。中学1年で「GKなのに高校生のフィールドプレーヤーですら知っているレベル」の存在となった。中学2年のジュニアユースの名古屋戦では、シュートを何度も何度もストップ。ベンチにいる井上コーチは試合中に敵将から「どうやったら得点できるんだよ」と苦笑いしながら言われた。さらに中学3年次には、U―18の公式戦も飛び級で経験した。物おじしない立ち姿は今も昔も変わらない。「後にも先にも、あれだけのハートを持った選手はいない」。高校生に交じってもプレーに遜色はなかった。

 勝ち気な性格もそのままだ。敗北は言わずもがな、引き分けでも己を許さない。井上コーチの脳裏には、試合に負けて誰よりも号泣している中村が焼き付いている。「勝利と自分の成長にしか興味がないんじゃないですかね(笑い)。でも努力って言葉は似合わない。うまくなりたい一心でやってるから、努力じゃなくて当たり前なんです」。そう言って、クシャッと笑った。

 今年の4月15日。ACL天津権健戦の遠征メンバーから外れた中村は、井上コーチをパートナーに、雨の降りしきる中で黙々と居残り練習をこなしていた。「W杯のメンバーに選ばれてほしいですよね」。久々に一緒に練習した教え子のロシア行きを、静かに願った。

 ◆中村 航輔(なかむら・こうすけ)1995年(平7)2月27日生まれ、東京都北区出身の23歳。小学5年から柏の下部組織に所属し13年にトップチーム昇格。15年に福岡に期限付き移籍し、J1昇格に貢献すると翌年に復帰。正守護神の座をつかんだ。17年12月9日の北朝鮮戦でA代表デビュー。国際Aマッチ通算3試合5失点。1メートル85、82キロ。

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