なぜ川崎F大久保のFC東京移籍がこんなに早く決まったのか

[ 2016年11月23日 11:30 ]

 【大西純一の真相・深層】川崎FのFW大久保嘉人(34)が、来季からFC東京に移籍することが決まった。クラブからまだ正式発表はないが、既に7日に自ら“発表”。「2年前にもオファーをもらっていて誠意も感じるし、自分でももう一回チャレンジしたいと思った。また一からだが、そうでないと人生は面白くない。自分でいろいろ道を作っていきたいという思いもある」と話した。

 だが、こんなに早く移籍が決まった背景には別の理由もあった。今季のJリーグの日程だ。J1は11月3日に最終節が行われ、レギュラーシーズンが終了。天皇杯が残っているが、ここが今季の区切りだった。来季の監督は、補強は…。選手と来季の契約についても、クラブは話しはじめた。

 だが、チャンピオンシップ(CS)に進出した浦和、川崎F、鹿島の3チームはCS終了時が区切り。決勝まで行けば12月3日までだ。日本一をかけた戦いを続けており、まだ選手と来季の話をするタイミングではなかった。

 大久保は4年連続の得点王は逃したが、それでも今季15得点を挙げ、存在感を示していた。今季で2年契約が切れることから、FC東京、横浜、鳥栖、G大阪など複数のチームが関心を示していた。FC東京は2年前の契約更新時にも獲得に乗り出した。この時は条件では川崎Fを上回ったが、大久保が悩んだ末に川崎F残留を決めた経緯があった。今回もFC東京は好条件でオファーを出した。その返答期限が11月2日だったため、川崎Fと話し合いをする前に大久保は移籍を決断してしまった。

 川崎Fも契約延長のオファーを出す用意があった。だが、CSを控えていたため、「だいたいこれぐらい」と評価は伝えたものの、正式にはCS終了後に提示する予定だった。FC東京が獲得に乗り出していることはわかっていたが、川崎FはこのタイミングでFC東京に決めてしまうとは思っていなかった。

 FC東京にしてみれば、大久保が獲得できないのならば他の選手にオファーを出さなければならないので、このタイミングで交渉するのは当然のこと。川崎Fにすれば、まさかのタイミングだ。川崎Fの関係者も「認識のずれ」と困惑する。CSで活躍すればそれも評価になる。シーズンが終わっていないのに条件は出せないからだ。レギュラーシーズンとCSの終了日にズレがある日程が生んだ弊害だった。(専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

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