G1地区選手権

【平和島G1 関東地区選手権】須藤、地元SGへ正念場

[ 2019年2月14日 05:30 ]

地元SG出場へ負けられない須藤博倫
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 G1「第64回関東地区選手権」は15日、東京のボートレース平和島で幕を開く。群馬、埼玉、東京。3支部の精鋭たちが激突する今シリーズ。群馬勢の中心は、昨年のSGで4優出2Vと活躍した毒島誠(35)だ。埼玉は、地元クラシックの出場権を狙う支部長・須藤博倫(41)に注目が集まる。もちろん地元・東京勢も軽視は禁物。浜野谷憲吾(45)、中野次郎(37)、長田頼宗(33)ら当地G1覇者が迎え撃つ。

◆須藤 3月戸田開催「クラシック」何としても

 「関東チャンピオン――いい響きですね。格式高いG1だと思うし、獲りに行かないと獲れないレース」と関東地区選についての思いを語った須藤。15年に地元・戸田で行われた同タイトルを制している。

 昨年は8月までに5Vと順調に優勝を重ねていた。だが9月以降、G1やSGの斡旋が続いたとはいえ、優勝することはできなかった。3月に戸田で行われる今年のSG第1弾クラシック。同レースは昨年1年間の一般戦の優勝回数上位者が優先的に出場できるが、須藤はあと1勝足りず予備の5番目。まだ出場権を得られていない。さらに今期の適用勝率も3期続けた7点台を割り、6・94になった。

 「今のは良かった、と言えるレースができなかった。勝負というか、こなす感じでレースをしてしまった。また、これまで経験してきたことを、持って来すぎているとも感じた。この2カ月くらいはそれを壊しながら、一から取り組もうと思ってやっている」。

 地元のSG出場への道はまだ残されている。G1優勝者、つまり地区選を制すれば、出場切符を手にすることができるのだ。「手前の仕事のリズムの持って行き方が大事。地区選の前3節くらいの仕事の内容で、リズムやモチベーションは変わってくると思うので、合わせていきたい」。しっかり狙いを定めている。

◆総大将・桐生が強敵蹴散らす

 名実ともに埼玉のエースとなった桐生。関東地区選は16年V(多摩川)。当地では16年の周年でV。通算の当地勝率も7・25のハイアベレージをマークしており、死角は見当たらない。桐生を追うヤングボーイズも勢いに乗っている。中田、佐藤、黒井、秋元はそろって30歳になったばかり。ライバル同士、切磋琢磨(せっさたくま)しており、この内の誰かが優勝戦線をにぎわすことは間違いないだろう。

 “平和島巧者”の2人を忘れるわけにはいかない。ともに当地でのSG&G1を制している平石と中沢だ。平石は03年オールスターV、G1は08年地区選、13年周年V。中沢は06年クラシックV、G1は04年地区選の実績がある。埼玉からただ一人参戦する女子レーサー浜田にも注目。他にも金田、飯島、鈴木、浅見、谷津、石塚が出場する。

◆毒島、日本頂点へ第一歩

 あと一歩及ばなかった頂点の座に向け、最高の舞台から流れをつくる。昨年の毒島はSG2VとG13V。キャリアハイを更新し、賞金1位でグランプリに臨んだ。しかし、結果は準優勝。「18年はいい年だったけど最後に喜べなかった。悔しい」と唇をかんだ。

 一方で収穫もあったと語る。「最後は強烈にエンジンを出すことができたが、その足は初戦に来ていた。それなのに2、3走目に上を探りに行ってしまった。何もやらないことも含めて整備なのに気持ちの弱さが出た。結局、自分に足りないものが見えました」。この反省を生かし、19年は最後の一段を上る構え。その足掛かりに平和島以上の水面はないだろう。

 当地では昨年7月にG1開設64周年記念を優勝。シリーズ4日目には通算1000勝も達成した。「いいイメージを持って行ける。同じ地区で走る機会も多いし結果を出さなければいけない」と使命感も持つ。さらに関東地区選手権は手にしたことがないタイトル。「これを勝たないと関東の代表にはなれないので獲りたい」と力を込めた。

 「今年の目標は特にない。何を言っても結局はその場その場で頑張っていないとダメ。目の前の1走、1節、1カ月、1季節。1個ずつやり切ることで視界が開ける」

 1段抜かしをする気は毛頭ない。まずは関東チャンプがターゲットだ。ここから1段ずつ、コツコツと歩を進める。

◆“持ってる男”関が止まらない

 山崎智也、秋山直之、土屋智則。記念タイトルホルダーが多数そろう群馬支部だが、いま売り出し中は関浩哉だ。

 プレミアムG1ヤングダービーでデビュー初優勝の快挙。3度目のG1挑戦となった1月の江戸川周年でも予選8位と見せ場をつくった。「今年は年末の住之江に行きたい。賞金18位以内に入れれば言うことないけど、とにかく住之江に行ってグランプリを肌で感じたい」。頂上決戦の舞台を夢見る24歳にとって、G1は賞金加算に絶好の機会。直前の多摩川でFを切ってしまっただけに、今節に懸ける思いはより強くなったとみる。強豪にも、ひるむことなく真っ向から勝負を挑む。

 松本晶恵も忘れてはいけない。16、18年の平和島クイーンズクライマックスを共にV。当地出走回数は少ないが、水面相性は抜群だ。昨年の桐生お盆レースでは江口晃生、山崎、毒島らフルメンバーを相手に優勝。男女混合G1制覇を狙えるだけの能力は秘めている。

◆中野 東の庭へ熱い思い

 「昨年はいろいろな意味でいい一年でした」と、振り返る中野。なぜならば「たくさん走らせてもらっているうちに、このままでは駄目だと気がつき思い切って調整を変えてみた」。Fをすることなく330走を消化。そこで得たモノは大きかった。「自分のスタイルに合わないと思っていたペラの形が意外と当たった」。数字にも表れ、昨年の101勝は全選手で13位タイ。勝ち切るレースが目立った。

 東京支部でありながら大阪在住。中野はどちらにも強い地元意識を持って走れるといった大きなアドバンテージを持っている。昨年のグランプリシリーズでは優勝戦(4着)まで駒を進めた。今年もまたグランプリの舞台は第2の地元となる住之江。「もっといい成績で行ければ、もっと楽しめたはず」。ベスト18への意欲をちらつかせた。

 平和島水面もまたデビュー戦の地とあって中野にとっては庭だ。今年の開幕戦、正月開催では転覆を巻き返して余裕の優出。「今のペラは多少ズレても持ちこたえられるのが特長」と、早速好調をアピール。「このシリーズだけでも引き出し中身はかなり増えた」と、今大会への準備をいち早く整えている。

 11年4月の周年記念以来、3度目となる平和島G1制覇へ。そして多摩川開催の07年以来、2度目の関東地区チャンプへ中野の野望は尽きない。

◆浜野谷 頼もしきエース

 V候補として真っ先に名前が挙がるのは18年、東京支部から唯一、グランプリ戦士となった浜野谷憲吾。当地正月開催では予選トップ通過からの王道Vで格の違いを見せつけた。やはり東都のエースは当分、この男だ。

 次期エースとされいる長田頼宗は昨年1月の当地周年記念でG1初制覇。今年1月の当地一般戦では3コースからS一気にまくり優勝。平和島の走りは手の内に入れている。グランプリへの切符をつかむため、先ずは得意水面で大暴れだ。

 勢いに乗って参戦するのが今年1月の江戸川周年でG1初制覇を果たしたばかりの若林将。前走の多摩川ルーキーシリーズでワースト級とされていたエンジンをしっかりと仕上げて準優勝した永井彪也。予選での安定感なら斉藤仁、ボート界屈指のS力を誇る山田哲也らが見せ場をつくる。また今年1月、G1デビューとなった蒲郡周年で準優進出(6着)を決めた宮之原輝紀にも注目。

◆水面特性

 運河を利用した水面で水質は海水。一般的に風向きによってレース傾向は変化するが、平和島は特に風の影響を受けやすい。春から夏に吹く南風はホーム追い風となる。その時は全速ターンが流れて差しが多く決まる。一方、この時季に多く吹く北風はホーム向い風。向かい風の場合はまくりが利く水面になる。データも証明している。当地のコース別入着率を近1年(表1)と冬場(表2)の2パターンで出した。近1年に比べ、冬場は3、4コースの1着率が2ポイント近く上昇。さらに1コース1着率が3ポイント近く下落した。まくりが有効になることでインが弱まりセンター勢の存在感が増すと言える。もちろん、冬場でも追い風が吹くことはある。舟券を買う際は常に風向きに注意を払う必要がある。

◆毒島は当地“インの鬼”

 1コースが弱い冬場の平和島でイン戦が信頼できる選手は誰なのか。そこで今大会出場選手の当地1コース1着率を分析した。上位10人を表3に挙げた。1位・上村は出走数が少なく、2位の毒島が実質トップと言っていい。期間内で16戦15勝と驚異的な安定感。しかもほとんどがSG・G1だ。3位・黒井は12戦11勝。毒島同様、敗戦は1度のみと極めて優秀だ。地元からは福来、斉藤、梶野がランクイン。特に福来と斉藤は出走数が多いにも関わらず8割超え。信頼度は高い。

◆センター戦の関が波乱呼ぶ

 冬場の平和島は3、4コースに注目!。そこで、当地のセンター戦が得意な選手をピックアップ。上位10人を表4にまとめた。1位は関。出走数は少ないが5割超えの好数値をマーク。当地前回戦のルーキーシリーズは4戦全勝だった。持ち味の旋回力がG1でも通用するか見ものだ。埼玉勢の活躍も目立ち、秋元を筆頭に黒井、金田、浜田がランク入り。センターが強い戸田で培った速攻力は侮れない。4位・椎名は昨年1月の当地周年記念で3、4コースから2勝。今回も期待大だ。

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