G1地区選手権

【多摩川G1関東地区選手権】3地区の精鋭が激突 あす開幕

[ 2016年2月3日 05:30 ]

昨年暮れのグランプリシリーズでSG初優勝を果たした長田頼宗
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 関東の精鋭が結集!G1「第61回関東地区選」はあす4日、東京都・ボートレース多摩川で開幕する。昨年ボートレース界をけん引した山崎智也(41=群馬)、8年ぶりに東京支部に明るいニュースを持ち帰った長田頼宗(30=東京)のグランプリVコンビが関東の頂点を目指す。埼玉からはスピード自慢の桐生順平(29=埼玉)が関東No・1の称号にロックオン。

 【東京支部】長田 気合走
 ~水面相性抜群「タイトルホルダーらしいレースを」~
 昨年暮れのグランプリシリーズでSG初優勝。決してたまたまでなない。実力をしっかりと身につけ長田頼宗はこの時を待っていたのだ。

 打ち上げなど東京支部の選手が集まる場所では「浜野谷さんより若い世代で誰もSGを勝っていない」。そんな話が繰り返されていた。その度に長田は「山田哲也はG1を獲った。自分にもできないはずがない」。そう言い聞かせ、次に大きなレースを獲るのは自分だと静かに闘志を燃やしていたのだ。

 7度目のSG出場となった昨年暮れのGPシリーズ。3日目の1着で「流れが向いている」と、確信。舞台となった住之江は07年に初優勝した場所。「ここでいつかSGを獲る!」。長田は長年の夢をかなえたのだ。。

 東京支部のSG制覇は07年10月にダービーの高橋勲以来8年ぶりの快挙。同時に3月に平和島で開催されるボートレースクラシックの権利を獲得。平和島で行われた優勝報告会で「もう一度、平和島でガッツボーズをしたい!」と、ファンに約束。そう、GPシリーズVはひとつの通過点に過ぎないのだ。

 「走りながら成長ができました。やはりGPを狙えるようにベスト18を目指したい」。真の頂点を目指し本格的に動き始めた第一歩は今回の関東地区選手権。「住之江と多摩川は大好きな水面」。舞台となる多摩川もまた長田にとって相性抜群。通算19V中、4回がここ多摩川なのだ。「SGを勝って注目度は自然と上がるでしょう。東京支部代表としてタイトルホルダーらしいレースを!」。今年の主役争いに弾みをつけるためにも関東地区の頂点争いで存在を見せつけたい。

 【埼玉支部】桐生 光速走
 ~魅力ある選手へ「まだまだターンを磨きたい」~
 関東No・1襲名から16年のグランプリロードを見つめるのは埼玉の若き王様、桐生だ。昨年3月、尼崎クラシックを勝ち、SGウイナーとなった。通算5回目のSG優勝戦。その中には1号艇で負け、涙をのんだレースもあった。ようやくこじ開けた新時代の扉。桐生をはじめとするニュージェネレーションでタイトルを独占する時代がやって来るかもしれない。ただ、桐生はこう話した。「あまり結果にはこだわりたくない。流れが来た時につかめれば」と。

 2度目の挑戦となった昨年末の住之江グランプリ。一昨年の平和島はトライアル(TR)1stで敗退したが、今回はTR2ndから始まる3日目から最終日まで完走。優出は叶わなかったが、「平和島は2走で終わったが、今回は楽しかったし、凄くリラックスして走れたと思う」。改めて痛感したのは、16年SG3冠の山崎ら超一流選手の勝負どころを見極めて力を出し切る本物の強さ。「強い選手というのは決してチャンスを逃さないし、それがファンの期待に応えるということでもある」。現状に満足することなく、さらなる高みを目指す。

 そして、桐生は大きな夢を抱く。「魅力ある選手になりたい。5等を走っていても3等に上がるような、舟券の対象から外せない選手でありたい。“あいつがいるからレース場に行こう”と言ってもらえるような。そのためにはまだまだターンを磨きたい」。競技の枠を超え、見つめるビジョンはプロ野球選手やプロサッカー選手と何ら変わらない。2016年、桐生がいったいどんなボートレースを魅せるのか、興味は尽きない。

 【群馬支部】智也 貫禄走
 ~家族に「格好いい姿を見せたくて走っている」~
 15年MVPが本格始動を迎える。山崎智也は昨年、大村オールスターと宮島グランドチャンピオンでSG連覇。賞金ランク1位で臨んだ住之江グランプリも制し、年間SG3Vを達成した。「昨年はたまたま。悪いエンジンをあまり引かなかったし、ペラがうまく合ってくれただけ。それに早い段階で大きいレースを勝てたので楽だった」。こう謙遜したが、SGの他にG1も3V。年間獲得賞金額は自己最高の2億2933万円をマークし、40歳を超えて真の黄金期に突入した。

 今年に入ってからは地元・桐生の正月レースで優出3着。次のG1からつ周年記念は3日目に負傷して途中帰郷と、まだ目立った成績を残せてない。それでも関東地区選以降も住之江周年、戸田周年、SG平和島クラシックと得意のビッグレースが続く。本領発揮の瞬間は近づいてきている。

 ましてや昨年末、戦い続ける理由が1つ加わった。12月9日に次女の寧々ちゃんが誕生。守る家族が2人から3人に、そして勝利の女神も3人に増えたのだ。

 「基本的にカミさんと子供たちに格好いい姿を見せたくて走っている。下の子がボートのことを分かるようになるまではSGに出続けたい。今年の目標もグランプリに賞金6位以内で出ること」

 悲願のグランプリ初Vは12年。この翌年は燃え尽き症候群からか、後半戦で失速して連覇の挑戦権すら逃した。だが、グランプリが2ステージ制で行われた14年以降、連続でシード権を得たのは山崎のみ。最強レーサーまで上りつめた男が、同じ轍(てつ)を踏むとは考えられない。来月11日に42歳の誕生日を迎えるが「体力の衰えはない。少し老眼が気になるくらいかな」と笑う。3度目の頂点を目指すトモヤから今年も目が離せない。

 ◆正月開催V浜野谷 エースの本領見せる
 東都のエース・浜野谷憲吾が今年1月、93年以来となる多摩川正月開催に登場した。昨年までなら、F休みなどでなければ平和島が新年スタートの舞台なのだが、今年の地区選手権が是政水面で争われるのに合わせたかのような斡旋だった。

 「エンジン次第だけど、地区選の直前に多摩川を走れるアドバンテージは大きい」と浜野谷。その正月開催では「ペラが自分の形と違う」セッティングのエンジンで貫禄の優勝を飾り、地区選へこれ以上ない弾みとなった。優勝戦は4カドから目の覚めるようなまくり一撃を披露。やはり、この男が活躍しないと関東地区は盛り上がらない。

 昨年は6月に江戸川でG1を制したが、最終的な賞金ランクは30位。18位とは約1000万円の開きがあった。「久しぶりにグランプリの18人に残りたい」と10年以来となる年末の大一番に照準を合わせる浜野谷。今年は序盤から積極的に賞金を上積みしていくことが必要不可欠。そのプランを円滑に進行させる絶好のシリーズであることは、誰より浜野谷自身がよく分かっているはずだ。

 ◆クラシック出場へ 須藤必ず連覇を
 今年、関東地区選連覇に挑むのが須藤博倫だ。前回の戸田大会は、強力な舟足を武器に3コースまくりでV。デビュー17年目にして、ついに地元G1初制覇を達成した。「昨年の優勝は58号機のおかげ。スーパーエンジンさまさまです」。謙虚に振り返った。
 その一方で、あす4日から始まる第61回大会へひそかに闘志を燃やしている。「昨年のグランプリは関東が目立っていたし、シリーズでも長田(頼宗)が頑張っていた。関東ダービーの価値は確実に上がっている。クラシックの出場権も懸かる大切な一戦だし、連覇を狙わないわけにはいかない」。SG戦線に踏みとどまるためにも、見据える先は優勝だけだ。

 決戦の舞台となる多摩川では過去10優出1V。G1でも2度の優出がある。「多摩川に良いイメージはない。でも地区選の多摩川は何度か走ったが、良い足をしていた記憶がある。冬場なら何とかなりそう」。最近の厳しい寒さが、須藤の追い風になる可能性は高い。

 今年に入ってからは3節で2優出。リズムは決して悪くない。これから本格的に始まる記念戦線に向けても、今大会で勢いに乗りたいところだ。

 ◆中田竜太 準Vの次は頂点
 桐生の背中を追い続けて飛躍する埼玉若手の一人が中田だ。昨年は通算2度目のSGとなった三国オーシャンカップで目標としていた水神祭と予選通過をダブルでクリア。一歩ずつ階段を駆け上がるヤングスターは「チャレンジカップに出られるように、どこでもいいのでG1優勝したい」と記念タイトル奪取へ意気揚々だ。前回の地区選(戸田)は優勝戦で師匠の須藤とワンツーフィニッシュを決め、準優勝。ならば当然、今年は関東チャンプの座をうかがう。

 ◆石渡鉄兵 都内3場G1制覇だ
 地元G1完全制覇に石渡鉄兵が挑戦する。“純地元”の江戸川は10年の周年記念を始め2V。平和島G1も14年の地区選で制した。だが、多摩川は優出経験が1度あるだけで優勝はない。「都内3場のG1をコンプリートしたい」と気合十分で今シリーズに臨む。

 当地は昨年11月のG3企業杯以来の参戦。そのG3は予選を1位で通過してV。「前回はエンジンも仕上がっていたし、優勝できたので良いイメージを持って行ける」。調整面のアドバンテージと精神的余裕は大きい。2度目の関東チャンプへ、態勢は整った。

 ◆斉藤仁 リズムは徐々に上昇
 15年は優勝ゼロに終わった斉藤仁。「14年に比べて、昨年の自分は自信を失っていた気がする。原因は精神的なものだと思う」と振り返った。だが、今年3節目の戸田一般戦で1年1カ月ぶりの優勝。リズムは徐々に上がってきた。

 多摩川は今年の正月開催こそ予選落ちしたが、G15優出など実績は十分。「優勝回数は少ないけど相性は良い方だと思う」。こう語ったように昨年の当地周年記念でも優出している。「巡り合わせもあるので強気なことは言えない。まずは優出を目指す」。失っていた輝きを、地元G1で取り戻す構えだ。

 ◆後藤翔之 強心臓でチャレンジ
 07年11月に多摩川でデビュー、当地地区スター経験者で是政水面には格別な思いがある後藤翔之。昨年はボートレーサー人生で重要な年となった。6月に結婚、7月の福岡周年記念でG1初優出、12月には住之江グランプリSでSG初出場まで成し遂げたのだ。「(SGの)住之江は緊張しなかった」と強心臓をアピールする後藤。「SG、G1でコンスタントに結果を出して、年末の(SGグランプリ)18人に残りたい」と夢は大きい。まずは、今シリーズでG1初Vにチャレンジだ。

 ◆山田哲也 気迫を前面に初Vを
 多摩川で前回の地区選開催だった10年12月に、デビュー約6年1カ月でG1初優出(5着)を果たした山田哲也。G1は11年1月の宮島新鋭王座でVがあるものの、近況の記念戦線では厚い壁に苦しむシーンが目立った。「昨年は気持ちの面で足りないと感じた」と山田哲。それでも、昨年はV6で3月のSGクラシック(平和島)出場権をゲットするなどリズムは悪くない。「今年はSG、G1どちらでもいいから記念を勝ちたい」と気迫を前面に出して地区選初Vにアタックする。

 ◆江口 速攻戦は健在、土屋&久田 一気制覇も
 ~侮れない新戦力~
 群馬勢からの優勝は山崎智也以外、すっかりご無沙汰となっている。地区選V経験がある江口晃生(95年・戸田)、秋山直之(02年・多摩川)が関東のエース奪還に燃えるが、特に昨年の後半からリズムに乗せている江口に注目したい。今年桐生の正月開催、群馬ダービーではポールポジションから王道のV。スロー水域からの強気な速攻戦はまだまだ健在。枠番関係なしのレース運びだけに目が離せない存在だ。

 群馬支部が誇る新勢力は土屋智則と久田敏之。土屋はSG初出場の13年の津チャレンジカップでいきなり予選を突破。3度目のSG出場となった昨年10月の浜名湖ダービーでも堂々の準優進出を決めている。転覆で優出は逃したが大舞台に気後れしない強心臓。G1制覇は秒読み段階とみる。

 久田はSG出場経験がなく実績では劣るが、群馬支部では山崎、毒島、江口らトップレーサーと対等に戦えるテクニックの持ち主。SG戦線を視野に入れたい時期に入ったが、一発でSGへの切符を手に入れるにはG1制覇が単純明快。久田にとってモチベーションの高い開催になりそうだ。

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