G1地区選手権

【ボートレース鳴門 G1四国地区選手権】徳島VS香川 渦潮の街で4年ぶり決戦

[ 2017年2月18日 05:30 ]

G1初出場の中村桃佳
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 鳴門ボートのG1「第60回四国地区選手権競走」は、19日から24日までの6日間シリーズ。鳴門では4年ぶり、リニューアルしてからは初めての開催となる。歴代覇者14人が参加する豪華版。初日12Rはオール男子、2日目12Rでは全国唯一のオール女子でドリーム戦が組まれている。女子の層の厚さは全国一の四国。女子が男子と互角にV争いできるのも四国だけだ。本紙は昨年大ブレークした中村桃佳をクローズアップ。初A1&G1初挑戦のミラクルガールが大渦を巻き起こすか?若手男子にも伸び盛りの選手が多数だ。

◎ミラクルガールだ中村桃佳

 過去に2人しかいない女子の最優秀新人は、どちらも香川支部から誕生している。09年の平山智加と10年の平高奈菜だ。そして3人目を狙えるミラクルガールが、またしても香川から現れた。そう、中村だ。

 昨年1月の下関でデビュー初優勝。破った相手がそうそうたる顔ぶれだった。1号艇が市川哲也で3号艇には岡本慎治、4号艇には江口晃生とグランプリ戦線をにぎわせた古豪、強豪がズラリ。枠なりの5コースから、インと捲り艇が競った間隙をついて抜け出した。このシリーズは予選、準優進出戦、準優勝戦と優出までいくつもハードルがあったが、すべて乗り越えて快挙につなげた。

 「その前の大村が初優出だった。下関は市川さんが1号艇だし、江口さんは全場制覇がかかっているし、優勝戦は何もないと思っていた。ただ、無欲でいけたのが逆に良かった」

 デビューから1年8カ月での初優勝は平山、平高を上回るスピード。活躍はその1回にとどまらず、前期は4優出、2回の準Vの実績を残し、A2を飛び越えて今期は一気にA1に昇格した。今回はG1初出場、そして鳴門も初出走だが、2日目ドリーム5号艇に堂々と選出されている。

 「昨年は抽選運が良かったこともあるけど、1年走って少し自信になった。これからも攻める姿勢は変えないでいく。私のレースには乗り心地が一番大事。最初にマッチさせて、次に伸び寄りにするか出足にするかそのとき次第で考える。鳴門では水神祭ができるように、波に負けないように走りたい」

 今月5日に発表された福岡オールスターファン投票の中間発表は21位(女子で8位)にランクイン。G1すら未経験なのに、SGのファン投票で上位争いと期待度の高さが見て取れる。「緊張が7、楽しみが3」という今回のG1初陣。鳴門といえば、山川美由紀が女子初の混合G1制覇を果たした舞台(99年・第42回)でもある。何かを期待したい爆発力を秘めた全速戦に期待大だ。

◎ツボにはまれば平高奈菜

 「事故とは切っても切り離せない関係」と話すとおり、平高のそばにはいつも事故がつきまとう。やまとの転覆女王から、デビュー戦で不完走→転覆→6着→落水…と始まったボート人生。本来なら名を連ねているはずの3月のレディースオールスターも、事故率オーバーで選出除外だ。

 「それでも最近乗っている感じはいい。ペラが合ってるかどうかは分からないけど、ターンの質が良くなっていると思う」

 彼女の持ち味は、限界スレスレまでスピード、角度を追求したターンだ。1月のまるがめヴィーナス戦では「地元戦で久々に乗り味が来た」と予選首位通過に成功。そのターンに良いイメージを保ってレースに臨めている。鳴門は昨年7月のSGオーシャンカップに出場。その後も11月のW優勝戦(V)、12月のオールレディース(優出3着)で連続優出中と走り慣れている点も強みだ。

 「尼崎と四国はスタートが難しいイメージ。リズムに乗るのは苦手だけど、メンタルは気負っていないので普段どおり臨みたい」

 2日目ドリーム3号艇にシードされた。男子にも負けないポテンシャルで大仕事を成し遂げたい。

◎浅田千亜希 地元女子筆頭

 11年3月から約1年、14年1月から約1年と2度の長期休業を経て、今期は7期ぶりにA1に復帰。浅田はママになっても以前と変わらない強さを見せる。

 おととしは6優出Vなしだったが、昨年は5優出2Vと復活の兆し。平均スタートはコンマ15で、持ち味の速攻力、攻撃力が健在なところを証明した。

 浅田がこの大会で優出したのは06年のまるがめ第49回(3着)。鳴門G1では10年の57周年記念(5着)と、13年のレディースチャンピオン(2着)でファイナルまで進んだ。鳴門で行われる四国地区選手権は、第54回の横西奏恵さん、第56回の岸と、現在2大会連続で徳島支部の女子が優出している。今回もこの流れが継続するなら、地元女子の筆頭格の彼女の公算が大きい。2日目ドリームは1号艇。香川支部3人の包囲網を突破して、リズムに乗っていきたい。

◎山田佑也 “G1初陣”飾る

 徳島勢としては01年の田村隆信以来、15年ぶりの最優秀新人に輝いた。さらなる飛躍が期待される今年、まずはG1デビュー戦の今回は目が離せない。

 「島村隆幸さん、河野大さんがあと一歩で獲れなかったし、最優秀新人は欲しいタイトルだった。他の数字はクリアしていたし、あとは優勝だけ目指して、一年を通して狙っていた」

 対象期選手の中で獲得賞金と勝率で首位争いしていたが、優勝がなく強調材料に欠けていた。1年も押し迫って、残り2節となった昨年12月の平和島で念願の初優勝。返す刀で最終戦の鳴門も優勝して2V。タイトル獲得を決定づけた。

 「平和島を勝って『自分でも優勝できるのか』とホッとした。次の鳴門は変な焦りもなく走れた。次の目標はA1に上がることと、記念で活躍できる技術、整備力を身につけること」

 リニューアル後の鳴門は3節走って、すべて優勝戦1号艇(4→V→3着)の活躍。初挑戦のG1にまたとない絶好のステージだ。

 「普段から練習しているアドバンテージを生かしてアピールできる走りを」

 G1初出場初Vなら、過去に類を見ないサプライズで名を残すことになる。そして、それが狙える器だ。

◎近江翔吾 ノリノリ若手

 4年連続4回目の出場。意気込みを聞くと「獲るつもり!」と力強く返ってきた。今、香川で一番勢いのある若手をぜひ狙いたい。

 近江の最近のレース運びはA1に上がる前、A1在籍時よりも力強さを増している。勝率アップと相反するかのように優出回数が激減、1年近く優出から遠ざかっていた時期もあった。それが昨年10月のとこなめで準Vしてから一変。その2節後の11月まるがめで優勝し、今年1月の児島もオール3連対で優勝した。

 「びわこG1を走った後に追加で走ったとこなめで優出して流れが来た。優勝した丸亀も児島もエンジンは出ていた」

 レースだけでなく、あっせんでも流れが来た。1月鳴門の最終日に追配。リニューアル後に一度も走っていなかった鳴門を、G1前の一番大切な時期に走ることができたのだ。

 「1日、2走しかしなかったけど得るところは多かった。初優勝から3年間も走ってない水面だったし」

 現在はA2で、G1、G2に参加する回数は限られている。少ないチャンスを最大限に生かして、SG出場権を。6コース捲りでデビュー初優勝した鳴門で、ビッグドリームをかなえる。

◎先行予想

 過去10年は徳島5勝、香川5勝と全くの互角。今年はA1勢14人を擁する香川が同10人の徳島をリードして優位に立つが、ホームのアドバンテージがある徳島にも意地がある。

 香川の中心は重成だ。GPシリーズ2着、浜名湖周年2着とVにあと一歩届かないが着実に成績を残す。今年は悲願のSG制覇へ。まずはクラシック最終便のここを勝ちたい。

 三嶌は昨年の覇者で、鳴門も1月戦でV実績。意外にもドリーム戦からもれたが、間違いなくV争いの最前線に立つ選手だ。森高、中岡はドリームの点増し競走を走れるメリットを享受したい。他では第55、56回を連覇している福田、充実期に入った中田、片岡、近江に注目したい。

 徳島は初日ドリーム1号艇に選ばれた田村が軸になる。GPシリーズ準優のFが痛いが、第52回以来2回目の四国チャンプを狙う。

 新しい鳴門で実績を残しているのは林だ。お盆戦、10月戦でV。正月戦は準Vだった。第53回以来のVへ初日ドリーム3号艇での一戦に注目したい。ベテラン烏野もドリーム5号艇に選出されるなど健在。第38回以来、22年ぶりの復権なるか期待が高まる。

 その他では第54、57回を勝っている興津に、第58回でG1初優勝を決めた市橋が有力候補。一宮、佐々木は予選前半で波に乗れたら面白い。島村隆幸は今節F休みで不在だが、山田や菅といった別の若い世代が力をつける。彼らのG1初戴冠があるかも?

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