G1地区選手権

【ボートレース福岡G1 九州地区選手権】地元・福岡勢に佐賀&長崎勢が挑む

[ 2017年2月15日 05:30 ]

 今年の九州最強を決める舞台は博多だ! ボートレース福岡のG1第63回「九州地区選手権」(優勝賞金450万円)は、16日に初日を迎える。難水面を舞台に女子レーサー6人を含む52人の精鋭が激しいバトルを繰り広げる6日間。昨年末にグランプリを制し、16年MVPに輝いた瓜生正義(40=福岡)のほか、篠崎元志(30=福岡)、篠崎仁志(29=福岡)、峰竜太(30=佐賀)ら実力も人気も兼ね備えたスター選手がズラリと勢揃いする。注目は昨年9月のヤングダービーでG1初載冠を飾った松田大志郎(29=福岡)。正攻法の真っ向勝負で地区戦初Vを狙う。  

◎ヤングダービー念願G1初戴冠

 今年1月の芦屋正月レース優勝戦。1号艇で絶対的な本命に推された昨年のグランプリ覇者・瓜生正義を相手に、3号艇の松田大志郎は真っ向勝負を挑んだ。

 「グランプリを勝つよりも、芦屋で優勝する方が難しいってことを瓜生さんに教えてあげますよ」

 もちろん優勝戦を盛り上げようとしたリップサービス込みのコメント。ただ、顔は笑っていたが、瞳は真剣だった。

 「自分は芦屋ボートに育ててもらった選手だと思ってるし、芦屋を走る時は胸の奥に“燃えるモノ”がわき上がってきますから」

 結果は意表の前付け策から2コース捲りを選択。瓜生の抵抗を受け、結果的に5着に終わったが、これぞ松田の真骨頂というべき気概に満ちたレースだった。

 昨年は14優出5V。年初から九州地区戦、芦屋周年と記念戦線でも結果を出し、地力強化を印象づけた。そして迎えた9月ヤングダービー。準エース機と称された実績機を手にすると、優勝戦は桐生順平ら並み居るヤング世代の強敵を受け止め、王道の逃げ切り。念願のG1初載冠を飾った。一緒に走った選手に対して敬意を忘れないためにと、派手なガッツポーズはなし。それも実直な松田の人となりを示すエピソードだ。

 「G1を取れる、取れないで何か差があると思うし、一つタイトルを取れたのは良かったです。でも確かなのは、自分だけの力で取れたわけじゃないということ。ヤングダービーの準優が終わってからは、今まで支えてくれた人のことが頭に浮かんでました。これからも周りへの感謝を忘れず、走り続けたい」

 17年はさらなる高みを目指す戦いになる。フライング休みと重なるため、出場権を手にしていた3月児島クラシックが欠場となってしまったのは残念だが、最大目標は年末のグランプリメンバー18強入り。頂点を極める戦いに足を踏み入れるだけの地力を、この一年でどれだけ磨き上げることができるかが勝負だ。

 「毎年“これ”といった目標はないんです。1年を通じて見ると、いい時もあるし、悪い時もある。自分の中で今は努力の質を高める時期だと思ってます。周りを見ずに、がむしゃらに頑張る時期は過ぎたのかなと。目の前の1走にベストを尽くして、一歩一歩進んでいければいい」

 さて、迎えるG1九州地区戦。松田にとっては、今年最初のG1レースになる。どんなレースを見せてくれるか、楽しみにしているファンも多いだろう。ただ、舞台となる博多の話になると、途端にトーンは低くなった。

 「う〜ん、水面に関してはみんな一緒の条件だし、自分が合わせられるかどうかだと思うから心配ないけど、最近のエンジン抽選運がひどすぎますよね。まともなエンジンを引いてないから、いいイメージが全然わかない。ここで悪い流れを断ち切りたいというのはありますけど…」

 まずはエンジン抽選が一つの試練。ただ、そこを乗り越えて一度スイッチが入れば、こっちのもの。九州地区の猛者を相手に、強気の姿勢を崩さず、優勝戦線に名乗りを挙げてもらいたい。

◎至宝がG1舞台に帰ってきた

 佐賀の至宝・峰竜太(31=佐賀)がG1の舞台に帰ってきた。昨年7月のオーシャンカップ準優勝戦の勇み足で、昨年末は大事な時期に3カ月間もG1戦線から遠ざかるとになったが、1月の戸田周年でG1レースに復帰。低調機ながら、さっそく優出2着と結果を出すあたり、さすがは千両役者だ。

 「(16年は)しっかり成績を残せたし、一度も不調だと感じたことはなかったです。個人的には9月に芦屋周年を勝てたのが大きかったですね。あまりいいエンジンじゃなかったけど、しっかり勝ち切れた。精神的に大きくなれた1年だったと思います」

 もちろん視線の先にあるのは、昨年惜しくも逃した年末のグランプリメンバー入り。同じ九州地区の先輩で背中を追いかける瓜生正義が、昨年黄金のヘルメットを手にしたのも、大きな刺激になっている。

 「やっぱりSGのタイトルを獲りたい。もちろん、グランプリの18人に入るのは毎年のノルマだと思ってます。瓜生さんが昨年勝って、すごい感動したし、ずっと目標として追いかけたい」

 気になるのは博多水面との相性。V歴やSG優出歴もあるが、持ち味である旋回力はウネリのある当地よりも、静水面の方が威力を発揮しやすい。峰自身はどう感じているのだろうか。

 「思い切ったターンができないし、ウネリは嫌いです。自分としては見せ場を作りづらい(笑い)。でも、ウネリがある水面なりの走り方があるし、成績もいいですからね。心配には及びませんよ」

 まずは09年芦屋地区戦以来の九州チャンプの称号を手に、ここから続くビッグレース戦線に殴り込んでもらおう。

◎ケガ乗り越えたくましさ増す

 6人が参戦する女子レーサーの中でも、ひときわモチベーションが高いのが、川野芽唯(30=福岡)だ。九州地区戦は混合G1デビューだった昨年の大村大会に続く2年連続の参戦。今年の舞台は一昨年にクイーンズクライマックス(QC)でG1初載冠を飾った博多水面。心身ともに最高の準備をして臨んでくるだろう。

 「尊敬する瓜生(正義)さん、(岩崎)正哉さんと一緒に走る機会はなかなかないし、得るものが多いシリーズになると思う。目標は2人に“成長したね”と言われること。そう言われるようなレースができれば、いい成績が残せる…と思いません(笑い)」

 昨年は7月の転覆事故で左ヒザを負傷。2カ月にわたって戦列を離れたことで、頭の中のイメージと、現実のギャップに苦しんだ。

 「復帰後は無意識のうちにケガしたところをかばうせいか、思ったところに入れなかったり…。なんでこんなに勝てないんだろうって悩みましたね。今まで以上に、レースのことを考える時間が増えました」

 一度は狂った歯車だったが、それも少しずつ修正できている。年末のQCは残念ながらシリーズ戦回りとなってしまったが、結果的には優勝という最高の形で16年を締めくくった。

 「今年につながる優勝だったと思うし、今年はまた12人の中に入りたい。(地区戦は)“川野芽唯”っていう名前を売るチャンスだと思うし、お客さんに“こういうレースができるんだ”というアピールができればいいですね」

 苦難を乗り越えた川野は一段と強く、たくましくなった。大好きな博多で成長した姿を存分に見せてもらいたい。

◎「超得意」水面!決め手発揮だ

 中村亮太がパワーアップした姿で地区戦の舞台に帰ってくる。2年間のブランクもあり、地区戦の出場は13年若松大会以来4年ぶり。ただ、15年5月に復帰してからはスタート、旋回、エンジン出しとスケールアップした姿をファンの前で見せてくれている。

 「持っている能力を一生懸命出そうとしました。スタートのやり方も変えて、以前よりバリエーションが増えたし、競った時の甘さが解消されてきました。自分でもレースはうまくなったなと実感してますよ」

 昨年は11優出と1年通じてコンスタントに成績を残した。うち4月下関、12月多摩川で優勝。あっさりとA1返り咲きも決めた。年が変わっても勢いは衰えることなく、2月大村で今年初Vに続いて、住之江でも連続V。常に沈着冷静なハンドルさばきは、記念クラスを相手にしても引けをとることはない。

 「最近はペラもはまっていて、自分の中でも“これ”という形があります。もちろん、それでダメな時は、周りにアドバイスをもらいますけどね(笑い)」

 注目してほしいのが、近況の決定力の高さ。88・9%という今期のイン1着率も目を見張るが、4コースまではどこからでもアタマから買える数字を残している。久々のG1舞台でも、初優勝を飾った思い入れのある博多水面ならこの決め手は脅威になる。

 「福岡は“超得意”です。ウネリも気にならないし、レース場の雰囲気もいい。クラシックの権利は意識していないけど、SG出場の土台を作りたいです」

 進化を遂げた姿でG1初Vを狙う。

◎総展望

 瓜生正義がシリーズを引っ張る。昨年は初のグランプリを制して、年間最優秀選手にも選出された。当地ではSG3V、G13Vの実績を残しており、誰よりも知り尽くした水面である。第60回以来、3回目の九州地区制覇へ向けて、初日「九州プレミアムドリーム」の1号艇から出発する。

 2日目、「九州バトルドリーム」の1号艇に選ばれた峰竜太からも目が離せない。15年、16年と2年連続で最高勝率選手となり、今やイケイケムード。コース問わず絶妙なハンドルワークで会場を沸かせてくる。

 長崎支部からは下條雄太郎が黙っていない。前大会の大村では、優出3着まで駒を進めた。グングン地力をつけているだけに、最高の結果を求めてかき回してくる。

 他では、昨年最多勝をマークした渡辺浩司にも期待が集まる。篠崎元志・仁志の最強ブラザーズも忘れてはならない。昨年度覇者・今村暢孝はコース取りから魅せる。クイーンズクライマックスに出場した日高逸子、小野生奈、竹井奈美の女子勢も侮れない存在だ。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る