藤井正弘の血統トピック

【朝日杯FS】歴史的全欧2歳王者と同じ血を引くトリプルエース

[ 2019年12月12日 05:30 ]

 今年のカルティエ賞全欧最優秀2歳牡馬に輝いたのは英調教馬のピナツボ。今季最終戦のG1デューハーストSまで6戦全勝。中でも9馬身差圧勝のG1愛ナショナルSのパフォーマンスには、今世紀の2歳馬としては最高となる128ポンドの暫定レーティングが与えられた。掛け値なしに歴史的といえる全欧2歳チャンピオンである。

 朝日杯FSには、このピナツボと同じシャマーダルの産駒がエントリーしている。アイルランド産の(外)トリプルエースだ。
 トリプルエースの母トリプルピルエットは、その母である仏1000ギニー2着馬シャターを日本に運び、結果的にサンデーサイレンス最終世代の1頭として米国で生産された“持ち出し”馬。逆輸入された日本で9年の繁殖生活を送った後、ルーラーシップの子を宿して4年前に再び海を渡り、シャマーダルとの交配で最後の産駒トリプルエースを残した。「母の父サンデーサイレンス」の(外)という珍種が生み出された背景には、綱渡り的な采配の妙があったわけだ。

 父のシャマーダルは前記ピナツボの他にアースライト、ヴィクタールドラムと、現2歳世代から欧州で計3頭のG1勝ち馬を出している。空前の当たり年を逃がさなかった大オーナーブリーダー・ゴドルフィンの引きの強さは侮れないだろう。(サラブレッド血統センター)

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