【ステイヤーズS】オジュウ一戦必勝仕上げ!和田正師キッパリ「先のことは考えていない」

[ 2019年11月28日 05:30 ]

<ステイヤーズスS>ケイアイマリブ(右)と併せ追い切るオジュウチョウサン(撮影・郡司 修)
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 一戦必勝で王者の誇りを取り戻す。冬の名物マラソンレース「第53回スポニチ賞ステイヤーズS」に出走するオジュウチョウサン(牡8=和田正)が27日、美浦トレセンで追い切られ、Wコースで力強い走りを披露した。史上最多の障害G1・6勝を誇る“絶対王者”だが、近走は平地で2連敗。失地回復へ、最も得意なスタミナ勝負に持ち込むべく平地最長レースに挑む。 ステイヤーズS

 「先のことは何も考えていません」。和田正師はそうキッパリ言い切った。21日に発表された有馬記念ファン投票の第1回中間発表では1万447票で15位。改めてオジュウチョウサンに史上初の“二刀流”G1制覇を託すファンは多い。だが指揮官は「一番長い距離。平地でこれ以上の条件は望めませんから」と平地最長レースに背水の陣を敷く。最大目標に有馬を据えた昨年とは違う。目の前の1勝こそが必要だ。

 最終追いは石神(レースはM・デムーロ)を背にWコースで併せ馬。ケイアイマリブ(4歳1勝クラス)を5馬身追走し、直線で内から並びかけると馬なりで同時フィニッシュ。5F66秒9~1F12秒6。鞍上がゴールを過ぎて再加速させると、あ・うんの呼吸で力強く駆け抜けた。オジュウを最も知る男の声が弾む。「長めを意識してゴール過ぎにも加速。反応しなければステッキを使おうかと思ったが舌鼓(ぜっこ)だけで反応した。アルゼンチン共和国杯で仕上がっていたので、それをキープするようにうまく持ってこられた。今までより距離やコースもオジュウに合っていると思う」と好感触を伝えた。

 実に3年8カ月ぶりの連敗。苦杯をなめたがレースから得るものもあった。師は「前に馬がいないと気持ちが入らない。元々そういうところのある馬。障害は目の前の障害に集中できるから走れるが、それでも前を追いかけて途中でハナに行って押し切る競馬。最初からハナはよくない。やってみて分かった」と分析。「ミルコには前走の話、こういうところがあったという話はした。最長距離で持ち味を生かす。そこに懸けたい」と新コンビの名手に託した。

 敗戦を糧に、考え得る最高の条件を整えて臨む一戦入魂の舞台。王者ではなく、チャレンジャーとして“二刀流”の夢を全力でつかみにいく。

 ▽舌鼓(ぜっこ) 馬をコントロールするための副扶助の一つ。通常の扶助に馬が従わない場合に使用する。乗り手が“チッチッ”と舌で音を鳴らすことで馬に注意を喚起したり、発進を促したりする。競走馬に対しては、むちと同じで基本的にはスピードを上げるために使用する。

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