365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1982年9月】待つわ/女子大生デュオあみん 売れすぎて困ったことばかり

[ 2011年9月1日 06:00 ]

82年の紅白歌合戦に出場した「あみん」の(左から)岡村孝子と加藤晴子
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 ★82年9月ランキング★
1 待つわ/あみん
2 哀愁のカサブランカ/郷ひろみ
3 NINJIN娘/田原俊彦
4 小麦色のマーメイド/松田聖子
5 暗闇をぶっとばせ/嶋大輔
6 ダンスはうまく踊れない/高樹澪
7 けんかをやめて/河合奈保子
8 ハイティーン・ブギ/近藤真彦
9 6番目のユ・ウ・ウ・ツ/細川たかし
10 100%SOかもね…/シブがき隊
注目夢の旅人/松山千春
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【待つわ/あみん】

 岡村孝子と加藤晴子の2人は1位になっても浮かれている余裕なんて全くなかった。それよりも目の前の心配で音楽どころではなかった。

 ヤマハのポプコンでグランプリを受賞した女性デュオ「あみん」が歌う「待つわ」は7月25日の発売直後からトントン拍子で売れ、8月末にはオリコンチャートで1位に。TBS「ザ・ベストテン」にもランクイン。早くも2枚目のシングルの予定まで決まり、順風満帆だったが、名古屋の椙山(すぎやま)女学園大国文科2年の学生である岡村と加藤は9月半ばからの前期試験の準備が全然できていなかった。「待つわ」の大ヒットでスケジュールはいっぱい。試験勉強は後回しになっていた。

 「私たちは芸能界に入ったわけじゃない。学生をしながら好きな歌を歌っていければと思っていたから」。平凡な女子大生が連日マスコミの取材を受け、テレビの歌番組にも出演、ラジオからはAM、FMを問わず自分たちの歌が流れない日はない。突然の環境の変化は戸惑うことだらけ。それでも次々埋まるスケジュールに抗うことが出来ずに時が過ぎていった。

 入学直後、岡村が加藤に科目の履修届の書き方を聞いたのが出会い。やがて2人とも音楽好きだったことが分かり急接近。岡村が自作の曲を聞かせたところ、加藤の心に響き、ポプコンに挑戦した。

 1年目、後に2枚目のシングルとなった「琥珀色の思い出」を歌ったが、本大会には出場できなかった。大学の裏山や岡村の自宅で練習し、2年目は「待つわ」でリベンジ。デビューが決まった。「あみん」という名前は。さだまさしの「シナモンとパンプキンパイ」という曲の歌詞に出てくる喫茶店「安眠」から拝借したもの。岡村はさだのヒット曲「雨やどり」を聞いて、歌の世界に興味を持った。

 レコード売り上げ102万枚。82年唯一のミリオンセラーとなり、デビューから164日でNHK「紅白歌合戦」出場を決めたが、出場が決まった日、あみんは記者会見を欠席。大学のレポート提出に追われ大わらわだった。

 一大ブームを巻き起こしたあみんだったが、紅白から1年後には解散した。3年生になった加藤が翌年に控えた就職活動を前に、辞めたいと言ったからだった。「(芸能界は)私のいる場所ではない」と加藤。岡村は加藤の考えを受け入れた。「私が半ば強引に誘ってデビューした。ハコ(加藤)の気持ちを尊重したかった。別の人と組んでとレコード会社の人に言われたけど、ハコ以外の人とのあみんは考えられなかった」と岡村は振り返っている。

 岡村は2年充電期間を置いてソロデビュー。その後の活躍は周知の通り。加藤は就職、結婚、育児とすべて岡村の“先輩”となり、2人交流は解散後も続いていた。07年、24年ぶりにあみんが復活。歳月が過ぎても名曲「待つわ」は色あせていなかった。
 

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