365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1978年9月】君のひとみは10000ボルト/アリスを襲った困難が堀内孝雄のソロヒットに

[ 2011年9月11日 06:00 ]

 ★78年9月ランキング★
1 君のひとみは10000ボルト/堀内孝雄
2 銃爪/ツイスト
3 透明人間/ピンク・レディー
4 絶体絶命/山口百恵
5 勝手にシンドバッド/サザンオールスターズ
6 ヤマトより愛をこめて/沢田研二
7 ジョニーの子守唄/アリス
8 モンテカルロで乾杯/庄野真代
9 ブルースカイブルー/西城秀樹
10 グッド・ラック/野口五郎
注目ブルー/渡辺真知子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【君のひとみは10000ボルト/堀内孝雄】

 「君のひとみは10000ボルト 地上に降りた最後の天使」というサビの部分のインパクトのある歌詞と明るくリズミカルな曲調で、9月11日付のオリコンチャートで1位を獲得し、レコード売り上げ計92万枚を記録。人気3人組バンド「アリス」の堀内孝雄の名前が、リーダーの谷村新司の名前と同等に知れわたった大ヒット曲だった。

 「このタイトルで曲を作ってください」。「君のひとみは10000ボルト」というタイトル指定で、化粧品メーカーの資生堂から秋のキャンペーン用のCMソングの依頼があったのは、まだ冬場だった。先方はアリスに歌ってほしいとのリクエスト。いつものパターンで谷村が作詞、堀内が曲を書いたが、完成して次はレコーディングという段階でとんでもないアクシデントが起こった。

 78年4月28日、埼玉・大宮でのコンサート前、谷村が病気でダウン。長期療養を余儀なくされた。コンサートツアーの真っ最中でスケジュールはぎっしり詰まっている。ステージに穴を開けるわけにはいかず、堀内とドラムの矢沢透の2人で全国各地を周らざるを得なくなった。

 同時に直面したのが「君の…」のレコーディング。谷村がしばらく歌えないという状況で、資生堂側はどういう判断をするだろうか。化粧品とのタイアップ曲は必ずヒットする。事務所サイドとしてはどうしてもやりたい仕事だった。正直に谷村の状態を説明すると、あっさり「ならば仕方がありません。堀内さんだけで」ということで、図らずも初のソロシングル発売となった。

 キャッチーな歌詞は一躍流行語になり、レコード売り上げもグングン伸びた。この年、アリスは「冬の稲妻」「涙の誓い」「ジョニーの子守唄」と立て続けにヒットを飛ばしたが、それよりも堀内がピンで歌った「君の…」の方が売れた。谷村の病気という想定外の困難が逆に堀内のミュージシャンとしてのキャリアアップにつながったのだった。
 

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