365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1979年9月】虹とスニーカーの頃/低迷打破 ヒット曲狙ったチューリップ

[ 2011年9月22日 06:00 ]

 ★79年9月ランキング★
1 銀河鉄道999/ゴダイゴ
2 関白宣言/さだまさし
3 セクシャルバイオレットNo.1/桑名正博
4 カリフォルニア・コネクション/水谷豊
5 おもいで酒/小林幸子
6 虹とスニーカーの頃/チューリップ
7 ポーラー・スター/八神純子
8 アメリカン・フィーリング/サーカス
9 しなやかに歌って/山口百恵
10 夜明け/松山千春
注目微笑の法則/柳ジョージ&レイニーウッド
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【虹とスニーカーの頃/チューリップ】

 一度でもヒット曲を世に放ったバンドが、何年も鳴かず飛ばず状態でいるのはけっこうつらい。73年に「心の旅」、75年に「サボテンの花」がヒットチャートを賑わしたチューリップだが、その後3年間はファン以外からは忘れられた存在だった。

 極端な表現をすれば過去のバンドだった。かといって活動をしていなかったわけではなく、シングルもアルバムもコンスタントにリリースしていた。だが、周囲からの客観的な評価は自分たちの趣味に走りすぎている、というものだった。

 それでもいい、分かってくれる人にだけ聞いてもらえれば…、という生き方もあるが、やはりかつての輝きはそう簡単に忘れられるものではない。メンバーチェンジも噂されていた79年春、リーダーの財津和夫は「バンドとしての財産を残そうとヒットを狙って、ただその一点を目指して書いた」という作品が、同年秋に33万枚のレコード売り上げを記録した「虹とスニーカーの頃」だった。

 ヒット曲を意識して作ったという財津は、シングル盤候補として4曲をピックアップ。その中の一つがアルバム収録曲に予定していた「わがまま」だった。「虹と…」の歌い出し「わがままは男の罪 それを許さないのは女の罪」というテーマに沿ったタイトルだったが、曲は売れ筋のメロディーではなかった。若い男女の幼い恋から、どうしてもできなかった大人の恋への脱皮という歌詞の世界を残しつつ、これをアップテンポの曲に思いきって変身させた。

 これまでのチューリップにはない曲調は、古くからのファンだけでなく、チューリップをそれほど意識しなかった層にも受け入れられた。当初、チューリップが新曲を出すといっても、期待した音楽関係者は少なかったが、一度サンプルを聴くと、曲に惚れ込み、7月5日の発売とともに、ラジオで頻繁に流れるようになった。すると、リクエストが爆発的に集まり、それにつられてレコード売り上げも上昇した。

 この曲をレコーディングし、ヒットを見届けた後、2人のメンバーが脱退した。ヒット曲でつなぎ止めようとしたわけではなかったが、「心の旅」に次ぐセールスを記録した曲を区切りに、チューリップは新たなステージへとステップアップした。

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