365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1991年9月】格好悪いふられ方/芝居にもどん欲 大江千里 最大のヒット曲

[ 2011年9月6日 06:00 ]

 ★91年9月ランキング★
1 SAY YES/CHAGE&ASKA
2 どんなときも。/槇原敬之
3 WON’T BE LONG/バブルガム・ブラザーズ
4 さよならイエスタデイ/TUBE
5 格好悪いふられ方/大江千里
6 Silent Jealousy/X
7 LOVE IS ALL/徳永英明
8 ミセス マーメイド/チェッカーズ
9 Can’t Stop!/SMAP
10 エデンの都市/観月ありさ
注目替え唄メドレー2/嘉門達夫
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。
【格好悪いふられ方/大江千里】

 婚活という言葉が世に出て久しいが、平成が始まった直後の91年、既に男性諸氏は結婚するのにひと苦労する時代を迎えていた。

 その社会現象をコミカルにドラマ化したTBSの「結婚したい男たち」の主題歌、大江千里の「格好悪いふられ方」は、7月18日にリリース。50万枚のCDを売り上げ、大江は23枚目のシングルにして、最大のセールスを記録した。人気絶頂の歌手渡辺美里がコーラスとしてレコーディングに参加したのも話題となった。

 大江の楽曲作りの特徴は歌詞と曲が同時進行で出来上がることだった。しかも、新曲を出すとなると、完成していないもの、サビの部分だけ、イントロだけなどのものを含めて200曲近くのデモを用意してきた。これを1つずつ聞いて、スタッフとともに吟味して練り上げてゆく、という作業を繰り返して1曲に絞る。気の遠くなるような話だが、それだけ自分の生み出す音楽に対する愛情とこだわりがあった。

 しかし、音楽の世界だけにとどまらず、その活動をする上での糧となるものはどん欲に吸収していった。その1つがドラマや映画への出演だった。

 「音楽をやっていると、同じ価値観の人ばかり集まって、音楽の話以外しないようになる。映画やドラマで役者をやるのは、外国に行って、初めて見たものや初めて聞いたものに驚くのと同じ感覚。自分が刺激を感じる音楽を作るには、手持ちの材料は少しでも多い方がいい。音楽だけの狭い場所には閉じこもりたくない」。

 俳優としても映画「君は僕をスキになる」(89年)「スキ」(90年)などで、それぞれ準主役、主役を演じ、テレビドラマでは「君が嘘をついた」(88年、フジ)、「十年愛」(92年、TBS)などに出演。「格好悪い…」が主題歌の「結婚できない…」にも1話だけ出演するなど、さまざまな体験を音楽に生かそうとする積極的な姿勢は周囲の共感を呼んだ。

 9月6日は大江の誕生日。08年以降、ニューヨークで暮らし、日本での活動はほとんどないが、80年代から90年代に「男版ユーミン」と呼ばれ、活躍した大江の円熟した作品をまた味わいたいものである。
 

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