365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1973年9月】てんとう虫のサンバ/アルバムの穴埋め曲がラジオから大ヒット

[ 2011年9月12日 06:00 ]

「てんとう虫のサンバ」がヒットしたチェリッシュの松崎好孝(左)と悦子
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 ★73年9月ランキング★
1 心の旅/チューリップ
2 草原の輝き/アグネス・チャン
3 わたしの彼は左きき/麻丘めぐみ
4 てんとう虫のサンバ/チェリッシュ
5 ちぎれた愛/西城秀樹
6 胸いっぱいの悲しみ/沢田研二
7 色ずく街/南沙織
8 恋する夏の日/天地真理
9 コーヒーショップで/あべ静江
10 十五夜の君/小柳ルミ子
注目ロマンス/ガロ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【てんとう虫のサンバ/チェリッシュ】
 デビュー曲「なのにあなたは京都へゆくの」が発売された71年9月は5人組だったチェリッシュ。その後学業専念と家業を継ぐなどの理由で3人が抜け、リーダーの松崎好孝とメーンボーカルの松井悦子の男女ペアになって1年余り。今でも結婚式で歌い継がれる名曲「てんとう虫のサンバ」は、いくつもの偶然が重なって歴史に残るヒット曲となった。

 デビュー以来、コンスタントにヒットを飛ばしていた中で、アルバム制作の話が持ち込まれると、スタッフは哀愁を帯びたヨーロッパ調の作品を集めるという方針の下で用意を始めた。一般的にアルバムは10曲入れるとしたら、テーマに沿ったものを6曲程度、シングルでヒットした曲を2曲、実験的な毛色の変わったものを2曲というような構成になることが多い。その毛色の変わった曲としてアルバム入りしたのが「てんとう虫…」。作曲家の馬飼野俊一のもとに売り込みに来た若者の詩集の中に、「あなたとわたしが夢の国 森の小さな協会で結婚式を挙げました」で始まる、「てんとう虫のサンバ」というタイトルの作品に、たまたま担当ディレクターの目が留まったことがきっかけだった。

 ヨーロピアンテーストのアルバムに、サンバの曲調の作品という異色作が注目されたのはラジオからだった。大阪のAMラジオ局で「てんとう虫…」を気に入ったディレクターが番組の時間の穴埋めでかけると、次の日からリクエストが殺到。またオンエアすると、さらに反響を呼んだ。

 評判はレコード会社の上層部にも伝わり、急きょシングルカットされることに。当初、松崎は「自分たちで作詞も作曲もしていないし、歌謡曲に限りなく近い歌をシングルでは出したくない」と難色を示したが、レコード会社としては売れると分かっているものに指をくわえて見ているわけもなく、73年7月5日にリリース。34万枚をセールスした。

 当初はバンドのマスコットガール的な存在で「決して歌手になりたいという気持ちが強いわけではなかった」という松井“悦ちゃん”だったが、彼女の澄んだ声がチェリッシュの最大の魅力でもあった。ソロで歌わせる計画もあったというが、その頃には松崎と気持ちの上で切っても切れない仲になっていた。77年に結婚。歌の通り教会での式だった。
 

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