365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1976年9月】山口さんちのツトム君/異例の童謡大ヒット 実は寂しい思い出が裏に…

[ 2011年9月15日 06:00 ]

 ★76年9月ランキング★
1 あなただけを/あおい輝彦
2 ねえ!気がついてよ/桜田淳子
3 山口さんちのツトム君/斉藤こずえ
4 針葉樹/野口五郎
5 若き獅子たち/西城秀樹
6 河内のオッサンの唄/ミス花子
7 パタパタママ/のこいのこ
8 横須賀ストーリー/山口百恵
9 北の宿から/都はるみ
10 霧のめぐり逢い/岩崎宏美
注目はじめての僕デス、全員集合東村山音頭/ザ・ドリフターズ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【山口さんちのツトム君/斎藤こずえ】

 ロッキード事件に日本列島が揺れた76年夏。それとは別世界の子どもの歌声が大人の歌手がしのぎを削るヒットチャートの中でさん然と輝いていた。

 NHK「みんなのうた」で採り上げられて以来、子どもから大人まで広く浸透していった「山口さんちのツトム君」。仲良しの山口ツトム君が元気のないことを心配する女の子の視点を明るいメロディーに乗せたもので、最後は大好きな母親が帰省先の田舎から帰ってきて、土産のイチゴを心配してくれた女の子とほおばり元気を取り戻すという、たわいのないものだった。

それでも子役として人気を博していた斎藤こずえ(現こず恵)が歌ったレコードは47万枚と童謡に分類される曲の中では異例中の異例の大ヒットに。各レコード会社が歌い手をそれぞれ選び、競作という形になった。

 作詞作曲はみなみらんぼう。当時はこれといった意識もなく、頭に思い浮かんだことを詞にし、曲を付けた。ところが、後年になって幼少期に母親を亡くして寂しかった自分こそ「山口ツトム君」だったのではないかと、自問自答。無意識のうちにどこかで母を慕う心があって誕生したものだったということを述べている。

 この時、斎藤こずえは小学3年生。その2年前に子役として出演したNHK朝の連続ドラマ小説「鳩子の海」での演技が評判となり、天才子役と呼ばれた時期。ハードスケジュールの中で意味も分からずレコーディングしたという。

 中学入学を境に、芸能界とは一時一線を画したこともあったが、高校卒業後に米国留学。マーケティングや心理学の勉強をするかたわら、現地のクラブでブルースを歌うなど“昔取った杵柄”で生活費を稼いでいる時期もあった。

 米国人と結婚も4年で離婚。日本に帰国後はライブハウスで歌うなど音楽活動を続け、テレビドラマにもしばしば出演。役柄が地味なせいもあるが、一世を風靡した斎藤と気がつく人は少ない。

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