365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1984年9月】愛・おぼえていますか/私は声優じゃない 複雑な思いだった飯島真理

[ 2011年9月14日 06:00 ]

 ★84年9月ランキング★
1 星屑のステージ/チェッカーズ
2 十戒(1984)/中森明菜
3 ピンクのモーツァルト/松田聖子
4 前略、道の上より/一世風靡セピア
5 愛・おぼえていますいか/飯島真理
6 唇のプライバシー/河合奈保子
7 最愛/柏原芳恵
8 桃色吐息/高橋真梨子
9 顔に書いた恋愛小説/田原俊彦
10 長良川艶歌/五木ひろし
注目バージンブルー/SALLY
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【愛・おぼえていますか/飯島真理】

 イメージがそうさせるのかもしれないが、声優出身の歌手ではない。本業が歌手、声優は「デビュー前の度胸試し」でやっただけのことだった。

 アニメ映画「超時空要塞 マクロス」のヒロイン、リン・ミンメイの声を担当し、主題歌「愛・おぼえていますか」を歌った飯島真理は、この時国立音大ピアノ科の学生。映画のヒットで主題歌は27万枚のレコードを売り上げた。

 この2年前、テレビで「マクロス」が放映された時からミンメイの声で出演していた飯島だが、本来は自作の曲100曲の中から厳選した数曲のデモテープをレコード会社に持ち込み、歌手でデビューすることになっていた。

 その直前、彼女のやや甘えたような声を気に入ったスタッフが声優のオーディションを受けることを勧め、飯島も「歌手になる前のいい経験になる」と軽い気持ちで受けたところ合格。これが「マクロス」だった。

 番組も当たったが、飯島の声も評判になった。歌手デビューした後も役のイメージでレコードを買い、コンサートに足を運ぶファンが多かった。「私自身、声優という意識はないのに、コンサート会場ではメイミンと呼ばれたりして、とても戸惑った。どうしてアニメの曲を歌わないのか、と指摘されることもあった。ある時、“アニメには興味がありません”と言い切ってしまったことがあり、ひんしゅくを買ったこともあった」。作詞は安井かずみ、作曲加藤和彦という音楽界の大物夫婦の作品の出来はさすがに売れ線の出来だったが、飯島はヒットの裏で複雑な心境だった。

 「私は自分で作って歌えるのに、どうして人が作った曲を歌わなければならないの」という葛藤は消えなかった。せめて自分を納得させるためと、映画の挿入歌となった自作の曲「天使の絵の具」をB面に入れたのは、飯島のささやかな自己主張だった。

 その後拠点を米国に移し、近年ではインディーズとして活躍。女優としてもドラマに出演している。

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