365日 あの頃ヒット曲ランキング 9月

【1970年9月】手紙/一発屋の危機から 由紀さおり スキャット歌手から脱皮

[ 2011年9月7日 06:00 ]

「手紙」で新境地を開いた由紀さおり
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 ★70年9月ランキング★
1 手紙/由紀さおり
2 愛は傷つきやすく/ヒデとロザンナ
3 命預けます/藤圭子
4 噂の女/内山田洋とクールファイブ
5 希望/岸洋子
6 男と女のお話/日吉ミミ
7 X+Y=LOVE/ちあきなおみ
8 私生活/辺見マリ
9 京都の恋/渚ゆう子
10 昨日のおんな/いしだあゆみ
注目走れコウタロー/ソルティー・シュガー
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【手紙/由紀さおり】

 スキャット歌手、と呼ばれた由紀さおりが新境地を開拓したヒット曲だった。

 「私にとってこの曲は本当にいい便りを届けてくれた幸運の“手紙”。“スキャットのさおり”と言われ、スローテンポの清純な曲しか歌えないと言われて、正直悔しかった。スローテンポのものから一変してリズミカルなものにしたのが良かった」と当時のインタビューで由紀は答えている。

 デビュー曲「夜明けのスキャット」が109万枚も売れ、69年最大のヒット曲となったが、続く第2弾の「天使のスキャット」はわずか9万枚のセールスに終わった。その後も2枚のシングルをリリースしたが不発に。デビュー曲のイメージはあまりにも強すぎて、そこからの脱皮に悩んでいた由紀に「夜明けの…」の作曲をしたいずみたくが言った。「偏向は良くない。一度違う人の曲でいってみたら」。何人かの作曲家、それに伴って複数の作詞家にも声をかけ、出来上がったのが「手紙」。作詞はなかにしれい、作曲は由紀がCMソングを数多く歌っていたデビュー前に縁があった川口真だった。

 「手紙」は9月7日付のオリコンで1位を獲得すると、6週連続トップを走った。最終的なレコード売り上げは68万枚で、「夜明け…」には届かなかったが、歌手・由紀さおりが“一発屋”として終わらずに済んだ、まさに起死回生のヒット曲となった。

 芸歴は長い。小学校1年で合唱団に入り、姉の安田祥子とともに童謡のレコードを出した。高校入学後は、ジャズを勉強。楽団の専属歌手などを務めたが、透明感のある声がマスコミ関係者の評判になり、CMソングを歌うようになった。「サッポロビール」「ハイミー」など、その数約300。由紀さおりとしてデビューする前から陰の売れっ子歌手だった。

 20歳で本格デビュー。「夜明け…」のリリースは69年3月10日だったが、その19日後には、仕事で知り合った13歳年上のCMディレクターと結婚し世間をあっと言わせた。

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