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【1994年1月】ロマンスの神様/広瀬香美 クラシックから誕生した冬の定番ソング

[ 2012年1月21日 06:00 ]

 ★94年1月ランキング★
1 ロマンスの神様/広瀬香美
2 WINTER SONG/ドリームズ・カム・トゥルー
3 あなただけ見つめてる/大黒摩季
4 TRUE LOVE/藤井フミヤ
5 CROSS ROAD/Mr.Children
6 Get Along Together/山根康広
7 ロード~第二章/THE 虎舞竜
8 君色思い/SMAP
9 今を抱きしめて/NOA
10 違う、そうじゃない、渋谷で5時/鈴木雅之
注目友達でいいから/高橋由美子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【ロマンスの神様/広瀬香美】

 93年の暮れから高音の女性の声がテレビCMから四六時中聞こえてきた。スキー用品店「アルペン」のCMソングは27歳の広瀬香美が歌う「ロマンスの神様」。92年のデビューから評価は高かったが、2枚目のシングルにして一気に大衆の知るところなった。

 「ロマンスの神様 この人でしょうか」のフレーズと最高で6オクターブ出るという歌声は耳に残り、スキーシーズン到来とともに人気急上昇。12月末には全国のミュージックショップから1週間で計20万枚のオーダーが入るほどの人気に。女の子の合コンにおける本音丸出しの歌詞、いい男を捕まえるというその一点を目指すしたたかさをストレートに表現し、女性だけでなく、ノリのいい曲調から男性にも支持された。
 
 CD売り上げは175万枚を記録。女性のソロシンガーのシングルの売り上げは、73年から74年にかけて大ヒットした小坂明子の「あなた」の165万枚が歴代トップだったが、これを20年ぶりに更新した。
 
 音楽を楽しいと思ったことはない、という。両親の考えで5歳からピアノと作曲を始め、高校、大学と音楽一筋。「将来は音楽の先生にでもなるのかな」と思った矢先の国立音大2年の時、米国へ行き友人に誘われてボビー・ブラウンのコンサートへ。それまでクラシックしか聴いてこなかった広瀬にとってそれは衝撃的だった。

 細かい規則にとらわれない自由な作曲法と胸に響くリズムに、行くべき道が見えてきた。大学卒業後はロサンゼルスに滞在し、マイケル・ジャクソンのボイス・トレーナーの門を叩き、3年間みっちり勉強。帰国してからレコード会社にデモテープを送ると、すぐに声がかかった。「楽曲提供だけにしようと思っていたら、自分が歌うことに。びっくりした」。

 「ロマンスの神様」はCM用に書き下ろしたものではなかった。中1の時、ピアノとバイオリンの室内楽として書いたものが原形。それをポップス風にアレンジしたものだった。大学までに書きためた曲は数百曲に及び、デビュー当時からしばらくは新作はほとんどなし。作っても「3年以上寝かせた方が味が出る」。異色の歌い手は、90年代、冬になると必ずヒットを飛ばした。

 

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