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【1970年1月】黒ネコのタンゴ/皆川おさむ 深夜放送から火がついた「大人の童謡」

[ 2012年1月14日 06:00 ]

 ★70年1月ランキング★
1 黒ネコのタンゴ/皆川おさむ
2 ドリフのズンドコ節/ザ・ドリフターズ
3 白い色は恋人の色/ベッツィ&クリス
4 逢わずに愛して/内山田洋とクールファイブ
5 池袋の夜/青江三奈
6 喧嘩のあとでくちづけを/いしだあゆみ
7 花と涙/森進一
8 別れのサンバ/長谷川きよし
9 真夜中のギター/千賀かほる
10 夜と朝のあいだに/ピーター
注目私が死んだら/弘田三枝子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【黒ネコのタンゴ/皆川おさむ】

 あどけない6歳の子どもの歌が国民的大ヒットになるきっかけは深夜放送のラジオだった。

 テレビCMや子役としてテレビに出ていた小学1年生の皆川おさむが歌った「黒ネコのタンゴ」は69年10月に発売されるや否や、大した宣伝もせずにニッポン放送「オールナイトニッポン」で紹介したことから火がつき、それがテレビに波及。発売1カ月で30万枚を突破すると、11月にはオリコンランキングで1位に立ち、年明け後も絶好調。70年2月9日付までトップを守り、レコード売り上げは230万枚を記録した。

 おさむ少年が「黒ネコのタンゴ タンゴ タンゴ…」とソプラノでサビの部分を苦しそうに歌う表情が流れると、問い合わせが殺到。「あの子はどこの子だ」「誰が作った曲だ」というものから「性格はいいのか」など、ありとあらゆる質問が視聴者からテレビ局にきたという伝説が残っている。

 皆川おさむは東京・目黒に住むサラリーマン家庭の子どもだったが、おばがかつて女優の吉永小百合も所属していた「ひばり児童合唱団」を主宰。おさむ少年も3歳から合唱団に入り、バレエのレッスンなどもしていた。合唱団で歌っていたことから時々子ども番組にも出演、CMにも顔を出していた。そこへ「黒ネコ…」の歌唱の以来が合唱団に来たことから「子どものころの思い出に」という軽い気持ちで歌ったのが、誰も予想できなかった大ヒットになった。

 元々はイタリアで開催された「ゼッキーノ・ドロ」という子どものための音楽祭の69年入賞曲。これをフィリップス・レコードが曲を輸入し、子どもに歌わせようと詞を訳し、編曲を加えたものだった。ただ、童謡というよりはタンゴのリズムを生かして「大人のための童謡」と位置付けた。そのため深夜放送でも流れ、ヒットチャートにもランクインした。

 これが導火線となり、子どもに歌手が次々にデビューしたが、“二匹目のドジョウ”はおらず、皆川自身もその後2枚目のシングル「サッちゃん」をリリースもベストテンには入らず、5万枚程度しか売れなかった。

 99年に「だんご3兄弟」とのカップリングで36歳になった皆川が再度レコーディングをして発売され話題となったが、すでに芸能界からは離れていた。かつての売れっ子歌手もグラフィックデザイナー、合唱団の運営にかかわりながら生活していた。

 

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