365日 あの頃ヒット曲ランキング 1月

【1988年1月】無錫旅情/尾形大作 中国から火が付き 日本では1年以上たって大ヒット

[ 2012年1月13日 06:00 ]

 ★88年1月ランキング★
1 ガラスの十代/光GENJI
2 はいからさんが通る/南野陽子
3 風のLONELY WAY/杉山清貴
4 命くれない/瀬川瑛子
5 男と女のはしご酒/武田鉄矢・芦川よしみ
6 無錫旅情/尾形大作
7 SHOW ME/森川由加里
8 悲しい気持ち/桑田佳祐
9 RESISTANCE/TM NETWORK
10 悲しいね/渡辺美里
注目反逆のヒーロー/長山洋子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【無錫旅情/尾形大作】

 発売から1年以上が経過してからレコード売り上げでトップテンに入った。忘年会シーズンにカラオケでよく歌われた効果で、有線放送にもリクエストが集まり、そのインパクトの強さは87年大みそかのNHK「紅白歌合戦」初出場へと導いた。
 
 福岡出身の演歌歌手、尾形大作が歌った「無錫(むしゃく)旅情」。中国・上海と南京との間にある水郷の街、無錫を舞台にした“ご当地ソング”。日本のある地方を舞台にしてのヒット曲は多いが、中国、それも多くの日本人にはあまりなじみのない地名をタイトルに付けてのヒット曲は、逆に想像力をかき立てた。風光明媚な湖と山がある無錫への観光客はこれで急増。日本からそれまでの3倍以上の観光客が押し寄せたという。

 所属事務所が中国と信仰がったことがきっかけだった。観光客誘致のイメージソングを、との依頼で尾形が歌うことになった。火が付いたのは中国から。発売されたカセットテープが飛ぶように売れ、50万本を記録。その話が日本に伝わり話題になると、有線放送にリクエストがくるようになり、レコードも売れ始めた。

オリコンランキングで11位から20位の間を行ったり来たりしていたが、87年の暮れごろからようやく殻をぶち破り、ベストテンに顔を見せた。その後、無錫にある公園にはこの歌の歌碑まで立てられた。

 歌を始めたのは虚弱体質からだった。結核と喘息を患ったことで医師から「肺を鍛えるために」と勧められたのが歌うことだった。才能はみるみるうちに開花した。中学の頃は知り合いのカラオケスナックに行って、客のリクエストに応じて懐メロを歌うことに。高校に入るとモトクロスバイクとラグビーに夢中になったが、高3の時に福岡音楽祭に出場。目的は賞金の30万円で新しいバイクを買うことだったが、ここで特別賞に選ばれ、スカウトされて歌手の道へとつながった。

 歌う際にマイクを回す“パフォーマンス”もヒットの話題の一つだったが、続く「大連の街から」などの中国シリーズで人気歌手の仲間入り。しかし、90年に担当マネジャーの使い込みに端を発した所属事務所とのトラブルで芸能界の中央からは姿をみせなくなった。現在は地元九州で歌手として舞台に立ち、新曲も出しているほか、俳優としても活躍している。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る