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【1980年1月】大都会/クリスタル・キング 解散の思い出に出たポプコンから運命変わる

[ 2012年1月24日 06:00 ]

★80年1月ランキング★
1 異邦人/久保田早紀
2 大都会/クリスタル・キング
3 さよなら/オフコース
4 悲しき友情/西城秀樹
5 秋止符/アリス
6 Sachiko/ばんばひろふみ
7 おまえとふたり/五木ひろし
8 TOKIO/沢田研二
9 愛染橋/山口百恵
10 おやじの海/村木賢吉
注目Wake Up/財津和夫
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【大都会/クリスタル・キング】

 長崎・佐世保で結成されて8年。ハードスケジュールで体を壊すメンバーが続出し、解散を決意して思い出にと出場したポプコンで運命はガラリと変わった。

 男ばかりの7人編成の「クリスタル・キング」は、79年のポプコンに「明日への旅立ち」で入賞を果たすと、11月の第10回世界歌謡祭に彼ら自身を歌詞に投影した「大都会」でグランプリを受賞。ボーカルの田中昌之の3オクターブに及ぶ抜けるようなハイトーンボイスと、リーダーでもう一人のボーカル吉崎勝正の抑えた歌声が美しく絡み合い、たちまち話題に。12月にラジオや有線放送からヒットの兆しが出ると、1月にはレコード売り上げも急上昇。トップを独走していた久保田早紀の「異邦人」を食い止め、オリコンランキング1月28日付でトップに立つと、以後3月に海援隊の「贈る言葉」に譲るまで6週連続1位。トータル120万枚をセールスした。

 九州でライブハウスを拠点としていた時代のギャラは月13万円。「大都会」の大ヒットでさぞやアップしただろうと世間は思っていたが、実はほとんど変わらず田中や吉崎などすでに妻子持ちだったメンバーに、家族手当4万円が追加された程度だったというから驚き。続く第2弾シングル「蜃気楼」が化粧品メーカーのCMソングになり、テレビ出演も増えたことから、なんとか80万円ほどになったという。

 その後もテレビアニメ「北斗の拳」の主題歌などを歌い、健在をアピールしたが、「大都会」の時の鮮烈なデビューのイメージが強く、それを超えるヒットが出なかった。86年にパンドの顔である田中がソロに転身。一時復帰したものの、のどに野球のボールが直撃してしまい、最大の武器だったハイトーンの声が出なくなると、その存在感は薄らいでしまった。

 「大都会」を歌っていた当時のメンバーは吉崎のみとなり、最近では脱退した田中が、クリスタル・キングを名乗ることに吉崎が商標権の侵害だと訴え出て裁判沙汰になるなど、ファンにとっては寂しい限りだ。

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