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【1999年1月】ラストチャンス/Something ELse 解散危機から一気に…

[ 2012年1月18日 06:00 ]

 ★99年1月ランキング★
1 ラストチャンス/Something ELse
2 I HAVE NEVER SEEN/安室奈美恵
3 光の射す方へ/Mr.Children
4 Automatic・time will tell/宇多田ヒカル
5 White Key/鈴木あみ
6 遠くまで/稲葉浩志
7 BE WITH YOU/GLAY
8 YES/知念里奈
9 ストロボ/広瀬香美
10 Happy Happy Greeting/KinKi Kids
注目黒いブーツ/SOPHIA
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【ラストチャンス/Something ELse】

 祈るような気持ちというより本当に祈っていた。99年1月6日付のオリコンランキング。千葉・柏の路上ライブからプロデビューした3人組のアコーステックバンド「Something ELse」(サムエル)は、発表されたランキングに自分たちのバンド名を探した。

 6枚目のシングル「ラストチャンス」の売り上げは20万5340枚を記録。安室奈美恵の「I HAVE NEVER SEEN」に続いて2位に輝いた。次のランキング発表となった1月20日付はとうとう1位に。デビューから約2年3カ月。サムエルが音楽業界の一つの尺度である、CDシングルの売り上げで頂点に立った瞬間だった。

 心臓が止まりそうな思いでオリコンランキングを凝視したのには理由があった。98年9月、すでに5枚のシングルをリリースしたが、鳴かず飛ばずでレコード会社との契約切れが迫っていた。そんな崖っぷちの3人に日本テレビ系の番組「雷波少年」が企画を持ち込んだ。

 「ラストチャンス」と題された企画は、サムエルの新曲をリリースするまでを追うというものだった。人気番組に取り上げられれば、いいプロモーションになると喜んだのもつかの間、過酷な条件が与えられた。「オリコン初登場で20位以内に入らなければバンドは即解散、音楽から離れ、別の就職口を探す」というものだった。過去最高はデビュー曲の137位。ハードルは高すぎた。

 さらに3人は半ば拉致されるような状態で都内のマンションに「合宿」という名の“軟禁生活”を強いられ、曲を作ることになった。バンド存続のためとはいえ、過酷な毎日。ストレスは溜まり、メンバー同士が激しく衝突することもあった。「ここまでして売れなかったら…」と不安がよぎったことは数え切れなかった。

 3カ月半に及ぶ合宿の末の条件クリア。もがき苦しみながら紡ぎ出した「ラストチャンス」は100万枚を超えるセールスを記録。98年末にはテレビで全く見られなかった、日本レコード大賞では優秀作品賞を受賞。おまけに夢にも思わなかった紅白歌合戦にも出場した。まさに「ラストチャンス」をものにした「サムエル」は、バンド10周年の前日となる06年10月22日まで活動を続けた。

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