藤井七段VS羽生九段 王将戦挑戦者決定リーグでタイトル戦初対局

[ 2019年9月7日 05:30 ]

郷田真隆九段(右)を破り、3期ぶりの挑戦者決定リーグ復帰を決めた羽生善治九段(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は6日、東京都渋谷区の将棋会館で2次予選1組決勝を行い、羽生善治九段(48)が147手で郷田真隆九段(48)を下し、3期ぶりの挑戦者決定リーグ復帰を決めた。羽生はタイトル獲得通算100期へ向けて第一関門をクリアした。

 ともに王将位獲得経験のある重鎮同士の激突は、複雑難解な終盤をまとめた羽生に凱歌が上がった。「負けかと思って指していた。終盤ははっきり(手が)足りないと…」。99手目に[先]3四歩と王手をかけた場面では「ちょっと軽率。間違えたと思った」と打ち明けるほどの苦戦。だが頭をかきむしりながら郷田の猛攻をギリギリかわし、待望の反撃を実現させる。真綿で首を絞めるように相手王の脱出路を封鎖して勝ちきった。

 3期ぶりのリーグ復帰。この2年間はまさに山あり谷ありだった。3年前にリーグ陥落後は名人を失冠しながらも竜王を奪還。史上初の「永世7冠」を達成した。将棋界初の国民栄誉賞を受賞したが、昨年暮れまでには保持していたタイトルを全て失い、27年ぶりに無冠となった。前人未到の戴冠100期まで、依然としてマジックナンバーは「1」。偉業達成への望みは確かにつないだ。

 「挑戦者決定リーグは大変なリーグ。そこに参加して、また指せることにやりがいを感じて臨めればと思っています」。前王将の久保利明九段(44)、今期好調の豊島将之2冠(名人・王位、29)ら今が旬の強豪6人と相まみえる“死のリーグ”は今月中旬に始まる。1日に初進出を決めた史上最年少棋士・藤井聡太七段(17)との対局もこれで確定。公式戦ではこれまで1度しか対局していない。昨年2月の朝日杯準決勝で、敗れている。羽生のリベンジか、藤井の連勝か。将棋界注目の黄金カードが再び実現する。

 ▼郷田真隆九段 途中で持ち直したかと思った。強めに勝ちにいき、なんとかなると思ったが、そうではなかったんですね。

 《12期獲得「永世」》羽生は王将のタイトルを歴代2位の通算12期獲得しており、最多20期の故大山康晴15世名人とともに永世王将の資格を持つ(10期以上)。95年に当時の谷川浩司王将に初挑戦も敗退。翌96年の7番勝負で谷川をストレートで破り史上初の全7タイトル独占を果たした。羽生は直近では、17、18年は2次予選で敗退している。

 《ラスト1枠14日決定》王将戦の挑戦者決定リーグは7人による総当たり戦。前期のリーグ上位4人と、予選を勝ち上がった3人で争う。今期は前王将の久保をはじめ、前期リーグで渡辺にプレーオフの末に敗れた糸谷、2大看板タイトルを背負う竜王の広瀬と名人の豊島が出場。2次予選は藤井と羽生が勝ち上がりを決め、ラスト1枠は前名人の佐藤天と棋聖1期の三浦が14日に決勝を戦う。藤井以外は全員がタイトル保持者または経験者という豪華な顔触れとなっている。

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