【佐藤康光の感謝】将棋を愛するすべての人に届けたい「ありがとう」のメッセージ

[ 2019年4月4日 21:00 ]

 【棋士の感謝】第4回佐藤康光九段 撮影/MEGUMI
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 【棋士の感謝】日々、勝負の世界に身を置く棋士たちの心の支えとなった仲間、恩師、家族、友人、恋人――。日頃伝えられない「感謝」の気持ちを5人の棋士に伺った。第4回は、日本将棋連盟会長・佐藤康光九段(49)に焦点をあてる。

 「棋士の感謝」というテーマを定めた時、最初に頭に浮かんだのが佐藤だった。タイトル戦の前夜祭、各種イベントに記者会見…。壇上の“佐藤会長”は平身低頭、同席者が恐縮してしまうほど全身で感謝の気持ちを表わす。「この企画にはぴったりだ!」。確かにそう思っていた。

 しかし、その考えは下準備の段階で粉砕されることになる。過去の発言に焦点を絞ると、佐藤が公の場で特定の個人や団体に謝意を向けることは無い。例えば「将棋界の将来の担い手は?」というごく一般的な質問に対しても、必ずタイトルホルダー全員の名前を挙げるとともに「羽生世代も黙っていないし、若手の台頭も著しい」とパーフェクトな答えが投げ返されてくる。

 つまり“佐藤会長”は、安易に固有名詞を出すことをしない。中途半端な選択はありえない。出す場合は、全てに配慮して関係者“全員”の名を挙げる。

 それでも“佐藤康光”の本心が聞きたい。読者に届けたい。今回のインタビュー最大のミッションは、佐藤から「いくつ固有名詞を引き出せるか」がポイントになり、佐藤と筆者との勝負になった。

 結果…。筆者は敗れた。佐藤の“緻密”な受けに屈してしまった。ぜひ読者の皆様には、「固有名詞を引き出そうと攻める筆者」vs「会長の立場を崩さない佐藤」の勝負の模様を見届けていただきたい。
 佐藤が会長として譲れぬアイデンティティー、そして目指す将棋界の未来を、行間から感じて頂ければ幸いだ。


 <最終回> 杉本昌隆八段(4月5日公開予定)

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