萩原健一さん、最期まで貫いた役者魂 腹水で痛み伴う中「ベルト締めて」

[ 2019年4月4日 23:00 ]

萩原健一さん
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 「ショーケン」の愛称で親しまれ、3月26日に消化管間質腫瘍(GIST=ジスト)のため68歳で死去した俳優・萩原健一さんの追悼番組「クローズアップ現代+『ショーケン・独自映像 最期の日々8年の素顔』」が4日、NHKで放送された。

 映像は妻のリカさんが亡くなる8日前までの様子を53時間以上撮影。それをその3日後に、萩原さんがNHKに「自由に使ってください。いいものを作ってください」と託していた。

 萩原さんは11年にGISTであることが発覚してからも気丈に振る舞ってきた。15年4月に再発した際には「正直言って真っ白になったのは確か」などと告白していた。昨年夏に行われたNHKドラマ「不惑のスクラム」の撮影でも体力が限界に近づく中、主治医からの延命手術を断り、覚悟を決めて作品と向き合った。

 亡くなる前、最後の出演作となったのが同局大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。第25回(6月末)から政治家・高橋是清役で登場する。

 カメラには萩原さんが大量の腹水がたまって痛みが伴う中、稽古場で演技に向きあう姿が撮影された。スタッフには衣装のベルトをきつく締めるように要求。妻のリカさんが「おなかによくないよ」と心配するも「いいんだって。(締めないと)セリフが出ないんだから」と反応。役のために全てを懸けていた。

 ビデオでは自身の思いを素直に告白。「GISTになっても、ウェルカムとは言いませんよ。不愉快ですよ。だけど、この難関、これも難関だと思っている。治そうとは思わないんです。抱えたままでいいです。人に迷惑をかけないで判断ができ、家内に心から正直なことが言えて。ただね、もし奇跡でもおこれば、あと5年は生きたいね」と笑顔で語った。

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2019年4月4日のニュース