王将戦・戦国時代(7) 「貴族」が謙信に!!佐藤天名人 切れ味鋭く“巻き返しの陣”

[ 2018年10月4日 18:00 ]

上杉謙信に扮する佐藤天彦名人(撮影:浦田 大作)
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 将棋の第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)の挑戦者決定リーグ戦が開幕した。昨期の残留4人に加え、予選を勝ち抜いた3人の計7者による、棋界で最もハードな総当たり戦。果たして久保利明王将(43)に挑む権利を手にするのは…。参加7棋士に加え、7番勝負で挑戦者を待ち受ける久保王将の8人が戦国武将に扮(ふん)し、それぞれ心境を語った。全8回の連載をお送りする。

 今春の名人戦7番勝負で羽生善治竜王を4勝2敗と下し、3連覇を達成した佐藤名人が、きょう4日の渡辺明棋王(34)戦で王将戦挑戦者決定リーグ戦の第1局に臨む。

 「厳しさを味わった」と苦笑いしながら振り返ったのは初挑戦だった昨期リーグ戦。名人の肩書とは裏腹に1勝5敗と惨敗したのはある意味衝撃的だった。実は昨年度(17年4月〜18年3月)の通算成績そのものも16勝19敗と屈辱の負け越し。名人にいったい何が起きたのか。

 実は意図的に試行錯誤をしていたのだという。「結果だけを求めていると狭い方に可能性を突き詰めてしまう。勝ちだけを求めるのではなく、序盤から自分の個性を出す、探るということを追い求めるようになった」。名人となって棋界の頂点に立ったからこそでき得るアプローチに挑戦。「それが結果につながらなかったことも事実です」と素直に明かした。

 勝率を落とした一方で、手応えも感じた。2度目の名人防衛を果たした今春からは、再び勝利から逆算する方策を追求している。するとどうだ。今期は14連勝を含む15勝4敗。9月25日決勝の銀河戦で初優勝を飾るなど、今乗りに乗っている。「この一年間の中で消化してきたことが生きるということでしょうか」。充実感が漂っている。

 そんな状況で迎える王将戦挑決リーグ。「リベンジではないんですが、昨期を上回るような良い成績を挙げたいと思ってます」と、控えめに決意を語った。

 物腰の柔らかさから「貴族」のニックネームを持つ。自身も欧州文化に興味を抱き、絵画展やクラシックコンサートには可能な限り足を運ぶことで知られる。お勧めの作曲家はマーラーにブルックナー。画家ならボッティチェリにブーシェとか。そんな西洋好き名人が撮影に選んだ戦国武将が上杉謙信とは意外?「特に理由はないんですが、なんとなく切れ味鋭くて格好いいイメージなので」と少々恥ずかしげに告白してくれた。(我満 晴朗)



 ?佐藤 天彦(さとう・あまひこ)1988年(昭63)1月16日生まれ、福岡県出身の30歳。2006年10月四段昇格。ファッションにも造詣が深く、アンドゥムルメステールを好む。1メートル71、65キロ。



 このインタビューの全文はlivedoor NEWSに掲載される。

 http://news.livedoor.com/article/detail/15390224/

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