有働アナ「真田丸」「風雲児たち」語りで“新しい声”発見「いろんな作品に挑戦したい」

[ 2018年1月1日 11:00 ]

有働由美子アナウンサーインタビュー(下)

正月時代劇「風雲児たち〜蘭学革命篇〜」のナレーションを務める有働由美子アナウンサー(C)NHK
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 NHKの有働由美子アナウンサー(48)が同局の正月時代劇「風雲児たち〜蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)〜」(1月1日後7・20、総合)のナレーションを担当。昨年の大河ドラマ「真田丸」に続き、劇作家・三谷幸喜氏(56)の作品を彩る。ナレーションの仕事は苦手意識があるというが、「真田丸」「風雲児たち」の語りを通じて「自分の“新しい声”を見つけました」。今後も「トレーニングを続けていって、いろんな作品に挑戦していきたいと思います」と意欲を示した。

 「真田丸」の脚本を担当し、ブームを巻き起こした三谷氏の新作脚本ドラマとして、さらに「真田丸」のキャスト23人(発表分)が再集結して注目される今作。ナレーションも「真田丸」と同じ有働アナになった。有働アナの「真田丸」の語りは、登場人物の死を淡々と読み上げる様がインターネット上で「ナレ死」と反響を呼び、特に第49話「前夜」ラスト、真田信繁(堺雅人)の生涯のパートナー・きり(長澤まさみ)についてのナレーションは視聴者の感動を誘った。

 「真田丸」の後、三谷氏の新作ドラマ脚本は今回が初。原作は今年、画業50年を迎えた漫画家・みなもと太郎氏(70)の同名大河歴史ギャグ漫画。今回は片岡愛之助(45)と新納慎也(42)を迎え、前野良沢と杉田玄白による“蘭学事始”のエピソードを描く。

 西洋医学書「ターヘル・アナトミア」の日本初の和訳に一心同体で取り組んだ良沢(愛之助)と玄白(新納)の2人。鎖国ド真ん中の江戸中期に革命的な翻訳を成し遂げた。しかし、刊行された「解体新書」に良沢の名前はなく、名声は玄白だけのものとなった。2人の間に一体、何が起きたのか…。笑いとサスペンスに満ちた新しい三谷流歴史ドラマが生まれる。

 ――昨年12月25日、有働アナがキャスターを務める「あさイチ」(月〜金曜前8・15)に三谷さんがゲスト出演。三谷さんが自身の舞台脚本「なにわバタフライ」を題材に、有働アナに演出をつけました。

 「三谷さんに演出をつけていただき、セリフの表現方法を学んだのですが、たった15秒ほどの指導で“ド”がつく素人がこんなにも変わるということを体感させていただき、三谷さんの演出家としての力を再認識しました。セリフは強弱、速い遅い、高い低い、この3つしかバリエーションがないというのは、非常におもしろかったですし、ナレーションの参考にもなります」

 ――三谷さんとのエピソードがありましたら、教えてください。

 「番組最後のファクスのコーナーで『イノッチ(有働アナとキャスターを務めるV6井ノ原快彦)を幕末の時代劇に出すとしたら、どの役が合っていると思いますか?』という質問が視聴者の方から来ていて、それにお答えいただこうと思っていたのに、時間切れになりました。放送終了後、三谷さんに謝りに行ったら『全然、問題ないです』と笑ってくださった後、『“あさイチ”さんは、いつも僕の扱い、雑ですよね。それがいいんですが』とおっしゃって。こちらのミスも笑いに変える。さすが喜劇脚本の王者だと思いました。でも、三谷さんがイノッチは幕末のどの役に合っていると思っていらっしゃるのか知りたいので、次回ご出演の時に必ずうかがいます!それから、番組終了後に『あさイチ』のインスタグラム用の写真を撮ったのですが、頼んでもいないのに、トナカイの恰好をしてくださって。その腰のそり具合が絶妙で、脚本家・演出家としてもすごいですが、動物を演じさせてもすごいんだなと感心しました」

 ――「真田丸」「風雲児たち」のナレーションは、有働さんのキャリアにとって、どのような位置付けですか?また、今後、ナレーションのお仕事については、どのような展望をお持ちですか?

  「ナレーションの仕事は、苦手意識がありました。番組の司会などと比べると、より完璧を求められる気がして。作品として、俳優さんや制作スタッフの作り上げたものに最後に付け加えるものなので、完成形に近づくための、ある理想形があるような気がして、それに届かないのではないかというプレッシャーが常にあります。読み取る繊細な読解力、感じる力、それを音声化する表現力、声の資質、滑舌、どれかが至らなくても、少しずつ欠けていく。アナウンサーとしての総合力を問われる。いまだに苦手意識はありますが、それをできないなりに挑んだ後には、自分も知らなかった、自分の“新しい声”が見つかります。わたしにとっては『真田丸』がそうであり、今回の『風雲児たち』でも、また見つけました。これまでは私自身のイメージからか、明るく元気に読んでください、というナレーションが多かったのですが、『真田丸』以降は、重厚な語りを頼まれることも多くなりました。せっかくいただいた新しい声なので、これからもトレーニングを続けていって、いろんな作品に挑戦していきたいと思います」

 =終わり=

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2018年1月1日のニュース