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「風雲児たち」13年越し実現に達成感 原作ギャグ漫画と“知の冒険”両立「三谷時代劇の新境地」

NHKエンタープライズ・吉川邦夫氏インタビュー(下)

大河ドラマ「真田丸」の後、初の新作ドラマとなるNHK正月時代劇「風雲児たち〜蘭学革命篇〜」の脚本を手掛ける三谷幸喜氏
Photo By 提供写真

 昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」の脚本を担当し、ブームを巻き起こした劇作家・三谷幸喜氏(56)の新作脚本ドラマとして、さらに「真田丸」のキャスト23人(発表分)が再集結して注目される同局の正月時代劇「風雲児たち〜蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)〜」は1日午後7時20分から総合テレビで放送される。2004年の大河ドラマ「新選組!」から三谷氏とタッグを組み、今回は演出を手掛けるNHKエンタープライズのエグゼクティブ・ディレクター、吉川邦夫氏を直撃した。

 「真田丸」の後、三谷氏の新作ドラマ脚本は今回が初。原作は今年、画業50年を迎えた漫画家・みなもと太郎氏(70)の同名大河歴史ギャグ漫画。今回は片岡愛之助(45)と新納慎也(42)を迎え、前野良沢と杉田玄白による“蘭学事始”のエピソードを描く。

 西洋医学書「ターヘル・アナトミア」の日本初の和訳に一心同体で取り組んだ良沢(愛之助)と玄白(新納)の2人。鎖国ど真ん中の江戸中期に革命的な翻訳を成し遂げた。しかし、刊行された「解体新書」に良沢の名前はなく、名声は玄白だけのものとなった。2人の間に一体、何が起きたのか…。笑いとサスペンスに満ちた新しい三谷流歴史ドラマが生まれる。

 吉川氏は、三谷氏が初の大河脚本を担当した「新選組!」からの付き合い。当初は2番手のディレクターを務める予定だったが、三谷氏との脚本作りを先行。結局、最終回の1つ前、第48話「流山」しか演出に割く時間がなかった。「真田丸」もプロデューサー5人体制のうちの1人として三谷氏と脚本作りに携わり、第4話「挑戦」を演出した。

 「風雲児たち」は「新選組!」が終了した直後から三谷氏が温めていた企画。紆余曲折を経て、今回、13年目にして実現した。「新選組!」のスピンオフ「新選組!!土方歳三 最期の一日」(06年1月3日)で榎本武揚役を好演した愛之助が「風雲児たち」の前野良沢役にハマるのでは、というところから企画がスタートした。

 脚本も作り始めたが、頓挫。吉川氏も「台本にエンドマークを打てることもなく、ずっと心残りでした」。次の三谷氏との仕事は「風雲児たち」と考えていたが、先に「真田丸」が決まり「『風雲児たち』は、あきらめかけました」。しかし「真田丸」が大反響を呼び、再び機運が高まった。改めて「風雲児たち」の企画を正月時代劇として出すと「今さら…と言われるかと思いきや、追い風が吹いていたというか、すんなり通りました。まず、それを三谷さんに報告した後、17年春頃にNHKの食堂で愛之助さんにばったり会い、愛之助さんに『あの企画(「風雲児たち」)覚えていますか?』と、お声掛けして」

 90分の単発ドラマ枠を得て一からプランを練り直す中、題材の難しさにあらためて頭を悩ませた。「解体新書」が生み出される過程を描く知的な物語と滑稽なギャグが共存する原作。「みなもとさんのすごいところですが、実写化となると、その両立はそう簡単じゃない。しかし、何とか成立させたいと思って、三谷さんと一緒に死に物狂いで、いろいろと考えて取り組んできました」。例えば、顎(あご)の日本語訳を見つける原作の場面。みなもと氏は「どーしてオランダ語の本に英語が載っているのだろう」としながら英語を巧みに使い、顎を意味する英語の「JAW」と、当時の大ヒットした米映画「JAWS」を引っ掛けた。「じぇ〜ったいあなたにかじりついていきますぞ〜」(中川淳庵)「良沢殿――われらとてこの書を読みたい気持ちはけっして貴公に劣りませぬぞ〜」(玄白)と2人の上顎と下顎に挟まれた良沢が「おまえらはジョーズかっ」とツッコミを入れ、笑いを誘う。

 米映画「JAWS」が流行した当時だからこそ成立するギャグ。しかも、実写ドラマでオランダ語を英語に置き換えることはできない。ならば、どうすれば、みなもと原作のテイストを大事にしながら、オランダ語翻訳という前人未到の作業を、説得力を持っておもしろく描けるのか。

 「ギャグの間合いを、芝居のユーモアの間合いに置き換えて、台詞回し自体や、シーンごとの構造はなるべく原作を活かしました。その上で、実際の史料から分かる彼らの本当の仕事や、史料の行間に残された謎などを取り込んで、『知の冒険』がリアルに感じられるようにしよう、というのが三谷さんとたどり着いた答えです。原作の世界観と本物の『ターヘル・アナトミア』をあらためて結び付けるような作業で、その振れ幅を成立させるために、三谷さんはドラマとしてはかなり大胆な表現をふんだんに使って書き上げました」

 三谷氏の時間の構成の仕方も新しく、吉川氏は「そういう意味で、三谷時代劇の新境地と言えるかもしれません。書き始めたのが10年前ですから、良沢たちの解体新書翻訳の3倍近い歳月がかかりました。決定稿が完成して、粘りに粘って書き終えることができた達成感は持っていらっしゃいました」。三谷氏にとっては、「解体新書」刊行に足掛け4年の歳月を要した前野良沢と杉田玄白の格闘と似た執筆だったのかもしれない。

[ 2018年1月1日 11:00 ]

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