馬場徹「陸王」“悪役”で新境地!セリフに工夫「1・5倍速」「食い気味」憎たらしさ反響

[ 2017年10月29日 08:00 ]

馬場徹インタビュー(上)

日曜劇場「陸王」の“悪役”が反響を呼んでいる馬場徹(C)TBS
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 2010年に亡くなった劇作家・演出家つかこうへい氏の「最後の愛弟子」と呼ばれる若手実力派俳優の馬場徹(29)がTBS日曜劇場「陸王」(日曜後9・00)にレギュラー出演。主人公の敵役を好演し、その憎たらしさが反響を呼んでいる。セリフを言うスピードは「体感だと、普段の1・5倍くらい速いんじゃないですかね」と細部に工夫を凝らす。“悪役”は舞台で経験済みだが、テレビドラマは自身初。新境地開拓に手応えを感じている。

 作家・池井戸潤氏の同名小説(集英社)をドラマ化。経営危機にある創業100年以上の老舗足袋業者「こはぜ屋」が会社存続を懸け、ランニングシューズの開発に挑む企業再生ストーリー。池井戸作品のドラマ化に、脚本・八津弘幸氏、演出・福澤克雄氏のゴールデンコンビが、またもタッグを組んだ。15年ぶりの連続ドラマ主演となった俳優の役所広司(61)が「こはぜ屋」の4代目社長・宮沢紘一を演じる。

 馬場が演じるのは「こはぜ屋」の新規事業=ランニングシューズ開発に対して懐疑的な考えを持つ埼玉中央銀行行田支店の企業融資担当・大橋浩。経営悪化を招くとして、新規事業を提案した部下の坂本太郎(風間俊介)を怒鳴りつける。

 第1話(15日)のハイライトは、ランニングシューズ開発を続けるか、社員をリストラして融資を受けるか、宮沢(役所)と大橋(馬場)が火花を散らした。馬場は黒縁眼鏡の奥から光る鋭い眼差しと、理路整然とした弁舌を駆使し、先制攻撃。友人からも「本当に嫌いになりそうだったと言われて、褒め言葉として受け取りました」と評判になった。

 池井戸作品は主人公の敵が見どころの1つ。「半沢直樹」の香川照之(51)、「下町ロケット」の小泉孝太郎(39)しかり、悪役がストーリーに厚みを与える。しかし、伊與田英徳プロデューサーは「今回の特徴は、敵であっても悪ではない」と説明。シューズ会社は利益追求のため、銀行は融資を適切に判断している。「それぞれが正義でぶつかり合うから、おもしろい。粉飾決算も裏金もありませんからね」と笑う。

 馬場の捉え方も同様。「最初は役の上で風間さんのことが結構、嫌いなのかと思っていたんですが、(福澤)監督からは、単純に『(融資)できるものはできる、できないものはできない』という、銀行員として正しい姿を演じてくれればいい、と。第1話で大橋が言っていることは、銀行側からすれば正論。大橋は自分なりの正義を全うしていて、それが結果的に『こはぜ屋』の人からすると、嫌なヤツに見えるといいのかなと思っています。だから、銀行員として真っすぐ、という意識だけです」

 ただ「嫌味な感じは出したいと思ったので、大橋という役にもう1枚、何か乗せたい」と役作りは綿密。「セリフのスピード感は、とても大事にしています。大橋の言っている内容が正しい分、その正しさがもう1つ“圧”(圧力)となって相手に伝わるように、速くしゃべるようにしています。自分なりにセリフの句読点を少なくしてみたり。体感だと、普段の1・5倍くらい速いんじゃないですかね。長いセリフでも、長い言葉として伝わらないように。相手が畳み掛けられている感覚になったらいい」と工夫を明かし「早口で噛まない?頑張って噛まないようにはしています」と笑った。

 宮沢(役所)「しばらく(融資)というのはどのくらいですか?5年ですか?10年ですか?その時にまた会社が傾いたら、リストラして延命処置をする。それが本当に会社のためだということになるんでしょうか」

 大橋(馬場)「いや、失礼ながら、御社の社員の平均年齢は57歳ですよね。遅かれ早かれ、社員数は減っていきます。ならば、少しでも早くリストラした方が効率的じゃないですか」

 このやり取りなどは「銀行員の大橋がリストラへの疑問を投げ掛けられるのは慣れていると思ったので(役所さんの)セリフの言葉尻をつまんじゃって、食い気味に言い返しました」と振り返った。

 “悪役”は「やっぱり難しいですが、その分、自分が少しでも納得できる表現ができると、うれしさは大きいですよね。難しい分、楽しいです」と、やり甲斐を感じながら「ちょっと三枚目寄りの役が多かったこともありますし、それこそ言葉で畳み掛けるとか新たな表現の仕方に取り組んでいるので、そこはすごく新境地だと思います」と手応えを示した。

 第2話以降も、その“嫌味っぷり”が注目される。

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2017年10月29日のニュース