佐藤健 漫画が育てた俳優 作品の面白さはストーリーより「登場人物」

[ 2016年12月6日 10:10 ]

漫画を手に真っすぐカメラに視線を向ける佐藤健
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 【夢中論】1000冊以上のコミックを持っている俳優佐藤健(27)。現在撮影中の主演映画「亜人」(来年公開予定)をはじめ、「BECK」「るろうに剣心」「バクマン。」など漫画を原作とした映画に数多く出演してきた。そんな佐藤自身の生き方は、少年漫画のヒーローのよう。ページをめくると、そこには俳優としての強いこだわりが描かれていた。

 カバンを開けて、取り出したのはiPad。このタブレット端末の中に、たくさんの夢やファンタジーが詰まった本棚がある。何百冊と並ぶ電子コミック。家でも、撮影現場でも、移動時間でも時間があればページをめくることをやめない。

 「亜人」の原作も電子コミックで読んだ。昨年公開の「バクマン。」の撮影時だった。プロデューサーから「これで映画を撮りたいと思ってるんだよね」と聞いたその10分後、もう読み始めていた。自分が知らない作品の話を聞けば、すぐに買って読んでしまう。

 「漫画は常に読んでますよ。このご時世と仕事柄、漫画や小説からの実写化が主流になってきていることもある。“原作になるのか”ってことも考えて、かなり読んでます」。一人の読者として漫画を楽しむことが大前提。さらに、「自分ならどうやって演じるだろう」「この場面は実写だとどうなるのか」と頭の中で想像を膨らませる。

 自宅と実家には計1000冊を超える単行本がある。漫画好きの父親の影響だった。「幼稚園ぐらいから読んでたかな。少年サンデーと少年マガジンを読んでたので、“名探偵コナン”や“金田一少年の事件簿”が好きでした」。1000冊は小学校高学年から買い始めた単行本の一冊一冊が積み重なった結果。「凄いのかな。読んでたらあっという間ですよ」。本棚に残っているのは夢中になった軌跡だ。

 「好きなジャンルは、いわゆる少年漫画的なバトルとかアクション物…。いや、でもジャンルじゃないんだろうな。アクションでも面白くないものは面白くないし、違うジャンルでも面白いものは面白い。単純ですね、読んでて面白いか面白くないかです」

 作品の面白さとは何なのか。自分の中で信じている答えがある。それは「登場人物」だ。「物語において人はどうして“面白い”と感じるのか。そう思う瞬間って、展開やストーリーじゃないかってみんな誤解してるんですけど、絶対そうじゃない。“その人が何をしたか”ということに、面白みを感じてるんです」

 例えば、ギリギリのところでヒロインを助けるという場面。「全然知らない人がやっても、それは何も面白くない。コナン君がやるから面白いんですよ。それは、みんなコナン君が好きだから。コナン君が助けたことに興奮するんですよね。“ONE PIECE”もそう。みんな海賊団や主人公のルフィが好きで、彼らの冒険を見届けずにはいられないんです」。この考え方が、俳優佐藤健の生き方につながる。

 ドラマでも映画でも、一番大事にしたいと意識していることは登場人物そのもの。「良い作品を作るということは、やっぱりキャラクターを好きになってもらえるかどうか。登場人物を魅力的にすることが全てだと言ってもおかしくないぐらい」。いかに魅力的な人を演じられるか、役作りを工夫する。

 サウンドクリエーター(作曲家)を演じた13年の主演映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」では、音楽プロデューサーを務めた亀田誠治氏の仕事場を固定カメラで撮影し、それを参考にした。「サウンドクリエートなんてしたことがないから、実際に見たくて。プロフェッショナルになることは無理。だから僕はプロのまねをするしかないし、コピーするしかない。自分なりですけど、それしかないと思ってる」

 役作りにはさまざまな方法があるが、重きを置いていることは「時間」だ。「結局、その役をどうやって演じようかなって考えてる時間が一番の役作りになる。原作漫画を読んでいる時間もそう」。頭の中で役作りに夢中になっていると、いろんな方法が浮かんでくる。

 元々好奇心に基づいて行動する性格。高校時代はブレークダンスにのめり込んだ。くるくる回転する技「ウインドミル」を、「やってみたい」と思ったことがきっかけ。「最初は家の前の駐車場にホームセンターで買ったマットを敷いてやってたんですよ」。授業が終わると、ダンス仲間と終電まで練習した。ガムシャラに取り組み、1年以上かけてウインドミルを習得した。

 少年は高2の夏にスカウトされて芸能界入りした。「最初のレッスンからずっと楽しかった。新しいことをしているワクワク感、高揚感があって」。楽しいという気持ちを信じて進み続けた結果、今や同年代を代表する俳優に上り詰めた。

 「この仕事をさせてもらっていると、単純に一生懸命生きることが仕事になっている。“仕事しなきゃ”みたいな気持ちじゃないんですよね。だから、人として魅力的に、一生懸命に生きたい。結局、見られるのは自分なんです」

 コミックのヒーローのような真っすぐさ。その主人公は、これからも俳優人生という原作漫画をひとコマひとコマ埋めていく。

 ◆佐藤 健(さとう・たける)1989年(平元)3月21日、埼玉県生まれの27歳。06年にデビューし、07年の「仮面ライダー電王」で連続ドラマ初主演。ドラマ「ROOKIES」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」、TBS日曜劇場「天皇の料理番」などに出演。今年は「世界から猫が消えたなら」「何者」の主演映画2作が公開された。1メートル70、血液型A。

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