松田龍平 海外での活躍も視野「文化も語学も土地柄も越えて」

[ 2016年3月29日 10:09 ]

松田龍平は“ミステリアス”のイメージとは違いほのぼのとした雰囲気の持ち主

 俳優の松田龍平(32)が大島渚監督の遺作「御法度」で華々しくスクリーンに登場してから17年。今では日本映画界をけん引する若手の一人に成長し、今年も複数の出演作が公開される。「ミステリアス」と形容されがちだが、壁がなく自然と周囲を和ませる人柄。俳優として成熟期を迎え、海外での活躍にも目を向けている。

 サッカー選手に憧れていた中学3年の時、大島監督がスナップを見て一目ぼれし、99年の映画「御法度」の主役に抜てきされデビュー。ビートたけし(69)ら豪華共演者の中でも美青年剣士役で鮮烈なインパクトを残し、新人賞を総なめ。カンヌ国際映画祭のレッドカーペットも歩いた。

 大島監督は同作を最後に13年に死去。「あの頃じゃなくて今(監督と)やりたいなと、いろんな時期に思いました。あれは、いたいけな少年が大島さんに“いてくれればいいから”と利用されたみたいな感じで(笑い)。そうじゃなくて、役者としてもっといろいろ感じたかった」と残念がる。

 俳優デビューの背中を押したのは母で女優の松田美由紀(54)。「やればできる。お父さんの子供なんだから」と励まされた。父は名優の松田優作さん。89年にぼうこうがんで亡くなった時は、まだ6歳だった。「記憶にあるのは、怖かったとか、でかかったとか、そのくらい。普通の父親と子供と同じで、よく怒られましたね」

 1メートル85と大柄だった優作さん譲りで、1メートル83の長身。面ざしもますます似てきていると評判だ。40歳で亡くなった父の年齢も、そう遠くない。「最近意識するのは、年齢が近づいてきてるぞっていうこと。俺は俺なりにいろいろ考えます」。短い言葉の中に、息子として、男として、同じ道を歩む役者としての強い思いがこもっていた。

 息抜きは、友人や気心知れた映画関係者と会うこと。「お酒を飲んでも飲まなくても、自分が好きだなと思う人といること。それが一番楽しいです」

 「ブラック・レイン」(89年)でハリウッドでも圧倒的な存在感を示した優作さんの血を継ぎ、父がオファーを受けながら共演がかなわなかった米俳優ロバート・デ・ニーロ(72)と3年前にCMで共演。インドネシア映画「ザ・レイド GOKUDO」(14年)で海外作品も経験済みだが、さらに活躍の場を広げることに意欲を見せる。「自分がどれだけ文化や語学、土地柄を越えて仕事ができるかやってみないとわからないけど、やれるんじゃないかなと思ってる。壁を越えて純粋に面白いことができるんだったら、いくらでもやりたいです」。ふわりと壁を飛び越えそうな自信と余裕は、マイペースさではなく、大きな伸びしろから生まれている。

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