ピース又吉「火花」が芥川賞!それでも芸人優先「今までどおり」

[ 2015年7月17日 05:30 ]

芥川賞を受賞しピースサインを見せる「ピース」の又吉

 第153回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、都内で開かれ、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹(35)の「火花」が芥川賞に選ばれた。羽田圭介氏(29)の「スクラップ・アンド・ビルド」とダブル受賞で、お笑い芸人が芥川賞作家になるのは初。又吉は都内で会見し「金びょうぶ、似合ってますかね?」と照れながら喜びをかみしめた。

 人気お笑い芸人の受賞とあって「例年の5割増し」(主催者)の報道陣でごった返した会見場。又吉が足を踏み入れると、まぶしいほどのフラッシュが光り、ズラリと並んだテレビカメラ20台が一斉に、新たな芥川賞作家の姿を捉えた。

 又吉は硬い表情で「凄いビックリしたんですが、とにかくうれしいです。ありがとうございます」とあいさつ。「なんかウソみたいな感じですけど…。なかなかこれだけ緊張することはない」と語った。

 都内のホテルの飲食店で待機していた又吉の元に吉報が届いたのは、午後7時半ごろ。知らせを待って2時間半たっていた。5分おきに「時間たつの遅いっすね」とつぶやくなど落ち着かない様子だったが、選考会場からの電話に「ありがとうございます」と一言。店が差し入れたシャンパンで乾杯した。

 会見ではなかなか緊張がほぐれず、写真撮影で笑顔を求められてもぎごちない。「ピースしませんか?」とコンビ名になぞらえた注文が飛ぶと、心なしか力がこもったピースサインを見せた。

 初の本格純文学作品ながら、単行本64万部を売り上げベストセラーに。作家からも絶賛の声が上がるほど内容への評価も高く、受賞が有力視されていた。高評価と裏腹に又吉は「自信は正直、ゼロでした」と感想。でも「きょうも朝、緊張してたんで、期待してる部分もあったのかと思う」とほほ笑んだ。

 中学時代に手にした芥川龍之介の「トロッコ」をきっかけに、2000数百冊を読破するなど、“読書芸人”として知られる。関西の強豪・北陽(現関大北陽)高でサッカー部に所属し、大阪府代表でインターハイにも出場したが、遠征のバスの中でも読書を続けた。一方で、小学2年の学芸会で脚本を書くなど、幼少時代から書くことも好きだった。

 芸人になり、下積み時代から吉本興業の広報誌などに、エッセーを多数執筆し「プロ並み」と評された。11年ごろから随筆集や短編小説の文庫本を発表し始め、編集者に後押しされて書いたのが「火花」だった。

 ただ、芸人としての生活が最優先。仕事を終え、夜中から4、5時間パソコンに向かった。そして大きな賞を手にしたが、「今までどおり、芸人100(の割合)でやって、それ以外の時間で書くというのは崩さない。それがいいと思う」と語る。

 次の作品について聞かれると「書きたいなという気持ちは凄くあります」。見据えるのは、売れっ子芸人と大作家という、前人未到の二刀流だ。

 ▽火花 売れないお笑い芸人徳永と、先輩芸人神谷との交流を描いた。華やかで残酷な笑いの世界で、形のない答えを求めてもがく若者の姿を通じ、人間の真実を見つめていく作品。掲載された文芸誌「文学界」が創刊以来初の増刷となり、単行本も64万部のベストセラーになった。

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