「火花」超えられるか…ピース又吉 2作目は題材選びが肝心

[ 2015年7月17日 10:10 ]

芥川賞を受賞しピースサインを見せる「ピース」の又吉

ピース又吉「火花」芥川賞受賞

 又吉の快挙に素直に声が出た。穏やかで哲学者然とした風貌からすると“堅物”に見えるが、飲みに誘われたら断ることをしない芸人らしい芸人。それが前代未聞の芥川賞を手にした。小説家と芸人の二足のわらじではなく、本業にまい進しながら寝る時間を削って小説を書き続けたことに意味があった。どこまで行っても又吉は芸人で、人を楽しませるという意味で小説を書くことも芸の一つなのだ。

 文学界は閉鎖的な社会で、事前の予測では「厳しいのでは」との声もあった。選考委員がフラットに審査した結果、実力でその声も封印した。

 前々から言われていることだが、2作目の題材選びが肝心になる。受賞作は若手芸人の世界を濃密に描き、涙あり、笑いありと感情を揺さぶられるものだった。別の題材を吟味し、これを超えるのはなかなか大変なこと。大手出版関係者は「コンスタントに売れ続ける作家は日本に10人もいないのではないか」と話す。芸人・又吉がその壁に挑むのは痛快だ。

 2作目はさらに周りの見る目も厳しくなる。「火花」を書き終えた時にインタビューしたら、「やり終えた感じはあります」と答えていた。その時のすがすがしい顔を忘れない。本気で芸人をやりながら、本気で書き続けることを次も楽しんでほしい。(文化社会部デスク 森俊幸)

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