阪神・才木 “大谷の残像”と戦った1カ月 調整も宝刀も原点回帰で今季初勝利

[ 2023年4月3日 07:30 ]

セ・リーグ   阪神6-2DeNA ( 2023年4月2日    京セラD )

6回を無失点におさえ、雄叫びをあげる才木(撮影・岸 良祐)
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 阪神・才木は3月の強化試合で衝撃の一発を浴びてから脳内を支配していた“大谷の残像”を乗り越え、確かな一歩を踏み出した。7年目で初の開幕ローテーション入りで6回1/31失点。人知れず“迷走”した日々が白星発進につながった。

 「真っすぐもフォークも良かったし、全体的に凄く良かった」

 序盤から最速155キロの直球と鋭く落ちるフォークを中心に圧倒した。1日にブルペン陣をつぎ込んだ岡田監督から「9回まで投げろと言っときます」と期待を寄せられたマウンド。7回1死一塁での降板に「悔しかった」と本音をにじませながらも、手にした1勝の重みをかみしめた。

 3月6日の侍ジャパンとの強化試合ではフォークを大谷(エンゼルス)に左膝を着き、右手一本の体勢でバックスクリーンまで運ばれた。「フィジカルの強さが違うと痛感して、まずはウエートかなと。自分は細いんで、パワーもない」。翌週から登板前に上半身のウエートトレーニングのメニューを加え始めた。突然現れた大谷翔平というとんでもない“刺激物”。24歳の向上心に火が付いても簡単に結果は出ない。「そこからスゴく感覚が悪くなって…」。実戦調整だった3月26日のオリックス戦は精彩を欠く5回4失点。開幕も迫り、「いったん、やめよう」と元の調整メニューに戻して本番を迎えた。

 被弾したことで高速化を試みていたフォークも従来型に戻した。一度は手応えを得ても「(オープン戦の)神宮、京セラと一向に良くならなかった。フォークがへぼすぎる」と慣れ親しんだ握りに原点回帰し、幾度となく空振りを奪った。「やっぱり真っすぐが良かった。フォークが効いてるのは、そのおかげ」。世界最高の選手との出会いで得たものは少なくない。試行錯誤した時間は確かな肥やしになる。 (遠藤 礼)

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