「ノーサイン野球」の和歌山大 本領発揮の9回同点、10回サヨナラ

[ 2023年4月3日 17:28 ]

近畿学生野球春季リーグ   和歌山大3―2大阪観光大 ( 2023年4月3日    大阪シティ信金スタジアム )

延長10回裏1死二、三塁、和歌山大・笠木のスクイズで三塁走者・川端がサヨナラの生還
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 「ノーサイン野球」を貫く和歌山大が、その本領を発揮して終盤の同点、そしてサヨナラ勝利を呼び込んだ。

 1点を追う9回裏、先頭の松田遼太(3年=履正社)が四球で出塁。次打者の1番・坂本賢哉(4年=富岡西)は攻撃前、松田に「塁に出たら行ける時に走れ。オレは絶対に転がすから」と、ノーサインでのヒットエンドランを指示していた。

 坂本は21世紀枠で選抜出場を果たした富岡西の主将。すでに高校時代から「ノーサイン野球」を培ってきていた。

 松田も「坂本さんに言われる前から走るつもりでした。空振りだと僕もアウトになる危険性はありますが、あそこは勝負でした」と心の準備はできていた。

 1ボール―1ストライクから、松田のスタートを左打席から見た坂本は内角低め直球を遊撃前にボテボテで転がし、松田は二塁進塁。さらに暴投で三進し、丸山椰尋(3年=熊野)が左翼に犠飛を打ち上げて、土壇場で同点に追いついた。

 延長10回裏。タイブレークの無死一、二塁から送りバントで1死二、三塁。打席の笠木悠翔(3年=兵庫県立大付)は初球スクイズを頭に描いた。笠木は昨年の秋季リーグで打率4割7厘と打ち、首位打者に輝いている左打者だ。この日も1回裏に先制の左前打を放っている。それでも状況がスクイズを予感させていた。相手が満塁策の申告敬遠を採らなかったこと。次打者が前日2日に逆転決勝3ランを放っている岡悠貴(4年=和歌山商)だったこと。相手バッテリーが動揺しているように見えたこと。

 「満塁にして岡さんではなく、自分で勝負してくると思った。だったら、初球からやれると思いました」

 三塁走者の川端修弥(2年=市姫路)との呼吸も合ってスタート。笠木のスクイズバントは投手左に転がり、川端が頭からサヨナラの本塁に滑り込んだ。

 大原弘監督(57)は「1点差なら終盤なんとかなると思っていました」と、読み通りの試合展開だった。「ふだんから選手たちに、試合の流れについて、よく話しています。選手たちも自分で流れを読めるようになっているのでしょう」

 投げては左腕・島龍成(3年=履正社)が10回を2失点で完投した。8安打を浴びたが無四球で129球。要所を締める投球だった。

 「去年と同じではいけないと、冬に練習を積んできました。球速も5キロぐらい増しました」

 1メートル70と小柄だが、直球は140キロに届くほどになった。松田によると、昨秋、大阪観光大戦でKOされており、この日はリベンジの一戦だった。「だから気持ちも乗っていた。得意のスライダーだけでなく直球でも押せていた」と好投をたたえた。

 和歌山大は2試合連続の逆転勝利で勝ち点。「春3連覇」に向けて好スタートを切った。(内田 雅也)

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