報徳学園・堀の“にらみ”勝ち 「機動破壊」に盗塁企図すらさせず 打っても適時打「楽しかった」

[ 2023年3月25日 05:10 ]

第95回選抜高校野球大会第6日・2回戦   報徳学園7-2健大高崎 ( 2023年3月24日    甲子園 )

<高崎健康福祉大高崎×報徳学園>4回、二塁走者の箱山に牽制球を投げる報徳・堀(撮影・井垣 忠夫) 
Photo By スポニチ

 2回戦3試合が行われた。第1試合では報徳学園(兵庫)が高崎健康福祉大高崎(群馬)を7―2で下し、18年夏以来5年ぶりの甲子園勝利を飾った。プロ注目の強肩捕手・堀柊那(3年)は、4回に適時打を放つと、守っては走力自慢の相手に盗塁企図すら許さなかった。第2試合は山梨学院(山梨)が氷見(富山)を、第3試合は高知(高知)が履正社(大阪)を破った。

 打撃でも守備でも、試合の中心には報徳学園・堀柊那がいた。3―1の4回2死一、二塁で迎えた第3打席。高めの外角直球を捉えた痛烈な打球は一、二塁間を抜く適時打だ。「前の打席は満塁で遊飛だったので、打てて良かったです」。5打席中4度が得点圏で回り、安打は1本のみ。「自分の動きができなかった」と緊張が抜けない中で放った価値ある一打だった。

 「機動破壊」と呼ばれる相手の走力は“顔”で封じた。二塁送球はプロでもトップレベルに相当する1秒81とプロ注目の強肩を警戒され、盗塁企図はゼロ。敵に見せつけるようにイニング間の二塁送球は低く強く、試合では二塁走者へのけん制を続けて走者をベースにくぎ付けにした。

 「盗塁をしてこなかったけど、ワンバウンドの変化球を止められたりできたのは良かったかなと思います」

 主将を務めながら、自身も周りも「リーダータイプではない」と言う。昨秋は、小雨でも誰一人として練習の準備を始めずに大角健二監督に叱られた。その翌日の県大会は辛勝。指揮官から再び叱責(しっせき)されると思いきや、伝えられたのは「もう分かってるよな」の一言。人前で話すことは苦手ながら、選手間でミーティングを開いて熱く呼びかけた。「このままでは絶対に甲子園に行けない。やるなら、とことんやろうや!」。主将もチームもスイッチが入った。

 そこから1週間、選手で練習メニューを考えるなど結束した。近畿大会決勝では大阪桐蔭・前田悠伍に3安打零敗。オフの期間は「また3安打で負けるぞ」と声を張ってチームを鼓舞。非凡な才能に闘志が加わった。

 「甲子園は緊張したけど楽しかった」。次戦こそは二盗阻止で聖地を沸かせるつもりだ。 (河合 洋介)

 ◇堀 柊那(ほり・しゅうな)2005年(平17)7月16日生まれ、兵庫県神戸市出身の17歳。若宮小3年時に西須磨シーホークスで野球を始めて捕手。鷹取中では兵庫夙川ボーイズでプレー。報徳学園では1年春からベンチ入りし、1年秋から正捕手。50メートル走6秒1、遠投100メートル。1メートル79、79キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2023年3月25日のニュース