ソフトB・斉藤和巳投手コーチ 45歳誕生日に選んだ漢字は「耐」その心は…

[ 2022年11月30日 05:00 ]

誕生日を迎えたソフトバンク・斉藤コーチは色紙に「耐」と45歳の誓いを記す(撮影・岡田 丈靖)
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 ソフトバンクの斉藤和巳投手コーチが30日、45歳の誕生日を迎え、本紙の単独にインタビューに応じた。コーチ就任1年目となる来季のテーマを「耐」の漢字一文字に込め、3年ぶりリーグ優勝へ投手陣に求める投手像を語った。また、自身が生涯勝率・775を記録するなど「負けないエース」と呼ばれた要因、そして心の奥にあった中継ぎ陣への感謝を明かした。 (取材・構成 福井 亮太)

 ――お誕生日おめでとうございます。
 「ありがとう。40歳超えてからの誕生日は楽しみがなくなったわ。若い方がいいよな」

 ――コーチとして初めて迎える誕生日。頭の中は野球ばかり?
 「コーチに就任してからは野球が頭から離れへん。ゴルフも興味なくなったわ。とにかく選手のことが頭から離れない」

 ――新たなスタートとなるこの1年を漢字一文字に込めると。
 「“耐”だね。耐えることができないと自分が手に入れたいものはつかめない。苦しい時はいろんな感情も出るけど、こっちも選手もぐっと耐えられないと良い方向にはいかないと思う。耐えしのぐのよ」

 ――改めてユニホームを着ている自分は想像できましたか?
 「ホークスに感謝の気持ちはずっとあったけど、指導者としては描けていなかった。選手の人生が変わってしまう怖さもあるし、シーズンに入ったらプレッシャーは凄いやろうなと毎日のように考えているね」

 ――秋季キャンプで選手の人生を背負っている責任を感じた?
 「そこまで考えても最後は自分のケツは自分でしかふけない。子供のころから続けてきた野球。ちょっとでも良い野球人生を送ってほしい。でも、平等でもない現実もある。そんなことを考えると複雑だけど、そのために頑張ってほしいし、背中を押したい」

 ――解説者と現場のギャップは。
 「全然違うよ。解説者は自分の主観で好きなことを言っていたけど、中に入ったら選手のことを思いながら接するようになった。180度違うよ」

 ――現役時代は勝率・775で負けないエースと呼ばれた。
 「持論だけど、投手だけの力では勝てない。勝たせてもらうもの。その中でどれだけ負ける確率を減らせるのかが仕事だから、そこしか考えていなかった。調子の波は誰しもがあるけど、それでも投げないといけない。調子の悪い時にどうするかやね」

 ――計算ができる投手が理想になる。
 「そこが投手の根底にあると思う。大きな波がある選手は使う側も大変。特に先発は試合中にブルペンをバタバタさせるのが一番良くない。現役時代に中継ぎを経験して、見えないところで肩をつくっているリリーフの大変さを知った。それをなくすことがチームとして1年間戦い抜くために必要。自分が投げる時くらいは何とかしたいと思って投げていた」

 ――和巳コーチが思うエースに必要な要素は?
 「エースだからというのはない。1週間に1回しかない先発はそれくらいの仕事をする覚悟で投げないと。自分を追い込むのは当たり前だと思っていた。でも、リリーフがより分業制になって勝ちパターンがしっかりしているチームが上位に来ている。どの球団も早めに継投になっていることを考えると難しいけど(中継ぎは)投げない日も気持ちをつくっている。先発はもうちょっと頑張らないといけない」

 ――オフの期間が明けて、期待する姿は?
 「やっぱり体力。投げる体力も練習する体力も必要。シーズンは長いからその間は良いパフォーマンスを出し続けないと評価されない。その点、毅(和田)は生きた教材。あそこまでできるのは若いときに培ってきた練習量があるよね。投手は陸上選手でもなければボディービルダーでもない。何のためにやっているかを考えてやってきてほしい」

 ――最後に45歳の抱負をお願いします。
 「2年間優勝を逃して、何かを変えるためにコーチに呼ばれたと思う。来年のこの時期は日本一になって一人でも多くの投手と笑っていたいよね」

 ◇斉藤 和巳(さいとう・かずみ)1977年(昭52)11月30日生まれ、京都府出身の45歳。南京都(現京都広学館)から95年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。通算成績は150試合79勝23敗、防御率3・33。06年に投手5冠で沢村賞を2度(03、06年)受賞。11~13年はリハビリ担当コーチ。背番は現役時代の66から71に。1メートル92。右投げ右打ち。

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